グリーンランド。北極圏に位置するこの広大な島は、近年、その豊富な資源と地政学的な重要性から、国際的な注目を集めています。今回、米国のバンス副大統領がグリーンランドを電撃訪問し、これまでで最も明確な形で米国の領有権主張を表明しました。この動きは、米中露3カ国間の駆け引きをさらに激化させる可能性があり、今後の動向が注目されます。
バンス副大統領、グリーンランドの米軍基地を視察
バンス副大統領は28日、デンマーク領グリーンランド西端に位置するピツフィク宇宙軍基地を視察しました。地元住民やグリーンランド自治政府からの反発がある中での強行訪問となりました。視察中、バンス氏は「良好な関係には、相手が必要とあれば強さを示すことも含まれる」と発言し、米国の強い姿勢をアピールしました。
alt_text
デンマークの統治を批判、グリーンランドの脆弱性を強調
バンス氏は、デンマークがグリーンランドの統治を適切に行っていないと批判し、ロシアと中国がグリーンランドに対して抱く野心を看過できないと主張しました。「デンマークはグリーンランドの人々に対して良い仕事をしていない」とまで言い切り、グリーンランドの脆弱性を再三強調。米国がグリーンランドでのプレゼンスを強化すること以外に選択肢はないと明言しました。国際政治アナリストの山田一郎氏は、「バンス副大統領の発言は、デンマークに対する明確な牽制であり、グリーンランドへの影響力拡大を狙う中国とロシアへの警告でもある」と分析しています。
グリーンランドの将来は住民が決めるべき、米国の傘下に入るメリットを強調
バンス氏は、グリーンランドの将来は最終的に住民が決めるべきだとしながらも、米国の安全保障の傘下に入る方がグリーンランドにとって有益だと主張。「米国こそ、グリーンランドの主権と安全保障を尊重する唯一の国だ」と述べ、米国との連携を強く促しました。
文化交流から一転、強硬姿勢を打ち出す
当初、バンス氏の妻、ウーシャ氏がグリーンランドを訪問し、犬ぞりレースを観戦するなど文化交流を目的とした訪問が計画されていました。しかし、直前になってバンス副大統領自身が出向き、米軍基地を視察するという強硬な姿勢に転換しました。この突然の方針転換の背景には、北極圏における資源開発や軍事戦略上の重要性が高まる中、米中露の駆け引きが激化している現状があると見られています。
グリーンランドをめぐる国際情勢の行方
グリーンランドは豊富なレアアースや鉱物資源を埋蔵しており、北極圏の航路開拓においても重要な拠点となる可能性を秘めています。米国は、中国やロシアがグリーンランドに進出することで、自国の安全保障に影響が及ぶことを懸念しています。今回のバンス副大統領の訪問は、グリーンランドをめぐる国際的な緊張の高まりを改めて示すものとなりました. 今後のグリーンランド情勢、そして米中露3カ国の関係にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。