日本人の主食であるお米。そのお米が、今、生活困窮者にとって手の届かないものになりつつあります。長年、生活困窮者を支えてきたフードバンクでさえ、深刻な米不足に直面し、支援活動の継続が危ぶまれています。一体何が起きているのでしょうか?
フードバンクの倉庫から米が消えた!緊急事態宣言発令
2000年からフードバンク事業を展開してきた「あじいる」(東京都荒川区)は、3月上旬、支援団体に緊急メッセージを発信しました。「お米がない!緊急事態宣言」。25年間、リーマンショックなどの経済危機も乗り越えてきた彼らにとって、前例のない危機的状況です。4トンもの米を保管できる倉庫は、今や20キロ入りの米袋がわずか3つしか残っていません。4月上旬には支援団体から約1トンの米の需要が見込まれているにもかかわらず、供給の見通しは全く立っていません。
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米不足のダブルパンチ!高騰と供給ルートの遮断
これまで「あじいる」は、市民からの寄付や農家からの余剰米、そして自前の田んぼでの米作りによって、年間約12トンもの米を確保し、野宿者、シングルマザー、DV被害者、高齢者、外国人など様々な境遇にある人々を支援してきました。近年は農家からの寄付が減少傾向にありましたが、不足分は寄付金で購入することで対応してきました。しかし、昨年からの米価高騰と市民からの寄付の激減というダブルパンチにより、ついに倉庫から米が消えてしまったのです。
「あじいる」のスタッフ、中村光男さんは「異常事態だ」と頭を抱えています。米価の高騰で市民の寄付は難しくなり、農家にも在庫がない。これまで通りの方法では米の入手が不可能になってしまったのです。
米の代わりにうどん…支援を受ける側の苦悩
「あじいる」が支援団体に状況を尋ねたところ、深刻な声が多数寄せられました。高齢者支援団体は米の代わりにうどんやインスタント麺で代用し、生活困窮者支援団体は配給する米の量を減らすなど、苦肉の策を講じています。中には、米の寄付が途絶えれば弁当配布を中止せざるを得ないと語る団体も。
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小学生2人を育てるシングルマザーは、これまで毎月4キロの米を受け取っていましたが、今は半分に減らされたと言います。「それでもありがたい」と語る彼女ですが、米を使う料理を減らし、うどんや素麺でしのいでいる現状は決して楽ではありません。「レトルト食品はもらえるけれど、それをかけるご飯がないのが辛い」と、彼女の言葉は米不足の深刻さを物語っています。
フードバンクへの備蓄米支援を!政府へ、そして市民へ
フードバンクは、社会の中で弱い立場にある人々にとって、まさに命綱です。中村さんは「フードバンクの食料が命の綱になっている人は多い。命を支えるため、備蓄米をフードバンクに直接支援することを政府は本気で考えてほしい」と訴えます。そして市民に対しても、広く支援を呼びかけています。
食料問題研究の第一人者、山田教授(仮名)は、「今回の米不足は、食料安全保障の脆弱さを浮き彫りにした。フードバンクへの支援はもとより、国産米の増産や食料自給率向上に向けた抜本的な対策が必要だ」と警鐘を鳴らしています。
「あじいる」への米の寄付や寄付金の問い合わせは、03-5850-4863 まで。あなたのご支援が、誰かの命を繋ぎます。