小学生の自殺未遂:いじめ加害者に仕立て上げられた少年の悲劇

小学校で起きた陰湿ないじめ。消しゴムを盗まれ、机の中身を荒らされ、ついには同級生のメガネをトイレに流す事件の加害者に仕立て上げられた少年の悲痛な叫びに耳を傾けてください。埼玉県さいたま市で2022年に起きた、小学6年生のシロウくん(仮名)の自殺未遂事件。隠された真実と、いじめ問題の深刻さを浮き彫りにします。

陰湿ないじめの始まり

シロウくんへのいじめは小学5年生の頃から始まりました。クラスの女子児童から目をつけられ、何度も消しゴムを盗まれる嫌がらせを受けていたのです。被害は7~8回にも及び、名前を書いたり、複数準備するなどの対策も虚しく、そのたびに筆箱から消しゴムは姿を消していました。

机の中身を荒らされる被害にも遭っていたシロウくん。母親は、「机の中身を机の上に出されていたこともあったようです。消しゴムを取られた直後には、クラスの何人かがニヤニヤしていたのを見たと息子は言っています。その児童たちは息子の消しゴムを持っていることは認めましたが、盗んだとは認めず、返却もしませんでした」と当時の状況を語っています。

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シロウくん自身、なぜ標的にされたのか分からず、恐怖から誰にも相談できずにいました。「なぜ狙われたのかは思い当たることがありませんが、誰がとったのかはわかっていました。仕返しが怖くて誰にも言えませんでした。本当にひどいなと思いました」と、当時の心境を吐露しています。

エスカレートするいじめ、そして悲劇へ

6年生に進級し、クラス替えがあったものの、状況は悪化の一途をたどりました。クラスにはいじめを主導する男子3人組がおり、シロウくんと別の女子児童A子さんが標的に。そして6月初旬、A子さんのメガネをトイレに流すという事件が起きました。

事件の数日前、シロウくんは3人組の1人がA子さんのメガネを奪い廊下へ持ち出すのを目撃。2日後、シロウくんはトイレに呼び出されます。「僕が教室にいたら、3人組の1人が近寄ってきて『トイレに来い』と言われました。トイレに行く途中で残りの2人もついて来ました。男子トイレの個室まで連れていかれて、個室の引き戸を開けて中に入るように言われました。そして僕にA子さんのメガネをトイレットペーパーで巻くように言ったんです」と、シロウくんは語ります。

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この事件をきっかけに、シロウくんはいじめの加害者として扱われるようになり、精神的に追い詰められていきます。そして、ついに自殺未遂に至ってしまうのです。

いじめ問題への対策、そして未来へ

子供のSOSを見逃さないために、周囲の大人は何ができるのでしょうか?教育評論家の山田花子さん(仮名)は、「子どもたちは、SOSのサインを様々な形で発信しています。些細な変化も見逃さず、子どもたちの声に耳を傾けることが重要です」と指摘します。

いじめは、被害者の人生を大きく狂わせる深刻な問題です。シロウくんの事件を教訓に、学校、家庭、地域社会が一体となり、いじめ撲滅に向けて取り組む必要があるのではないでしょうか。