上野東京ラインや湘南新宿ラインを利用する際、小田原、高崎、宇都宮といった行き先はよく目にしますよね。これらの都市は、小田原城、餃子、ダルマなど、何かしら有名なものがあり、大きな駅というイメージも湧きやすいでしょう。しかし、これらの行き先の中に、ひっそりと佇む「籠原」という文字を見かけたことはありませんか? なぜか1時間に何本も電車が発着しているにもかかわらず、その実態はあまり知られていません。今回は、そんな謎多き終着駅、籠原駅の秘密に迫ります。
なぜ「籠原行き」が多いのか?その秘密は車両基地にあり!
埼玉県北部の中核都市、熊谷。新幹線の停車駅としても知られるこの街のすぐ隣に、籠原駅は位置しています。熊谷という大きなターミナル駅のすぐそばにあるにもかかわらず、籠原駅自体は比較的小さな駅。それなのに、なぜこれほど多くの電車が籠原行きとして運行されているのでしょうか?
その答えは、籠原駅に併設された車両基地の存在にあります。1969年に籠原電車区が設置されて以来、高崎線の運行における重要な拠点として機能しているのです。現在でも籠原運輸区には運転士や車掌が所属し、高崎車両センター籠原派出所もホームのすぐ脇に広がっています。
籠原駅のホーム
15両編成の電車が5両になる理由とは?
籠原駅から北へ向かう路線は、10両編成までしか乗り入れることができません。そのため、15両編成で運行されている高崎線は、籠原駅で5両を切り離す必要があるのです。鉄道ジャーナリストの山田鉄男氏(仮名)は、「この車両基地の存在が、籠原駅を終着駅とする電車が多い理由です。切り離された5両編成の電車は、次の運行まで籠原駅で待機することになります」と解説しています。
実際、籠原駅に行ってみると、切り離された5両編成の電車が静かに佇んでいる様子を目にすることができます。まるで巨大な生き物が一休みしているかのような光景は、鉄道ファンならずとも心をくすぐられることでしょう。
切り離された5両編成の電車
籠原駅、ただの終着駅ではない!その魅力とは?
一見地味な印象の籠原駅ですが、車両基地という重要な役割を担っていることが分かりました。また、周辺には自然豊かな公園や史跡も多く、散策を楽しむこともできます。鉄道好きの方にとっては、車両基地の見学や、切り離し作業の様子を間近で見られるという点も魅力の一つと言えるでしょう。
一見何の変哲もない終着駅にも、実は様々な物語が隠されていることがあります。 次回の旅先候補に、籠原駅を加えてみてはいかがでしょうか。