【違法ハイヤー急増中!】白タクから緑ナンバー名義貸しへ、その実態と背景とは?

日本への観光客が増加する一方で、新たな問題が浮上しています。それは、白タクに代わる新たな違法行為、「緑ナンバー名義貸し」です。一見合法的に見えるこの手法、一体どのようなカラクリで、なぜ急増しているのでしょうか?この記事では、その実態と背景に迫ります。

緑ナンバー名義貸しとは?摘発リスクゼロの甘い罠

春節など、多くの観光客が日本を訪れる時期には、白タクの取り締まりが強化されます。しかし近年、取り締まりの目をすり抜ける新たな手法が登場しました。それが「緑ナンバー名義貸し」です。緑ナンバーは事業用自動車に交付される営業ナンバーであり、本来は合法的に運賃を受け取って乗客を運ぶ際に必要なものです。しかし、この緑ナンバーを違法に借り受けることで、白タクと同様の営業行為を行うドライバーが増えているのです。都内のタクシー運転手からは、緑ナンバーのアルファードやハイエース、さらにはVOXYやフリードといった一般車両まで緑ナンバーをつけて営業しているのを頻繁に見かけるという証言が得られています。まるで合法ハイヤーのように装っていますが、実態は違法行為なのです。 警察は白ナンバーの取り締まりに注力しており、緑ナンバーは見逃されがちです。この抜け穴を利用し、摘発リスクをゼロにするというのが、緑ナンバー名義貸しの狙いです。

alt="成田空港に並ぶハイヤー。緑ナンバー名義貸しの車が紛れている可能性も"alt="成田空港に並ぶハイヤー。緑ナンバー名義貸しの車が紛れている可能性も"

なぜ緑ナンバー名義貸しが増えているのか?背景にある事情

在日中国人事情に詳しいライター山重慶子氏によると、コロナ禍明けから中国系ハイヤー会社が増加し、緑ナンバー名義貸しが横行するようになったとのこと。今回、SPA!は緑ナンバーのアルファードで中国人観光客を運ぶ30代の中国人ドライバー陳さん(仮名)に取材を行いました。彼はUberやDiDiなどの配車アプリで仕事を受注し、成田空港から都内、都内から富士山・箱根といったルートで営業しているといいます。以前はトラック運転手として長時間労働で月30~40万円の収入でしたが、現在は月収100万円以上を稼いでいると語っています。中古で購入した車に、知り合いのハイヤー会社から月10万円で緑ナンバーを借りているとのことです。

中国SNSでも蔓延する名義貸しの闇

山重氏によると、中国のSNS「小紅書」では「緑ナンバーを貸します」という業者の投稿が見られるといいます。実際に確認してみると、月8万~15万円で貸し出すという投稿が複数見つかりました。ドライバーはまず車を購入もしくはリースし、ハイヤー会社に金銭を支払って形式上“所属”しているように見せかけます。ハイヤー会社がその車を運輸局に申請することで、正規の緑ナンバーが交付されます。その後、ドライバーは得た収入から一定額を会社に支払うという仕組みです。陳さんも、周りのドライバーの間でこのようなケースが増えていると話しています。

alt="緑ナンバーのハイヤー。中には名義貸しで違法に営業している車も"alt="緑ナンバーのハイヤー。中には名義貸しで違法に営業している車も"

専門家の見解:規制強化と意識改革が必要

旅客輸送コンサルタントの田中一郎氏(仮名)は、この状況を深刻に受け止めています。「緑ナンバー名義貸しは、乗客の安全を脅かすだけでなく、健全なタクシー・ハイヤー業界の秩序を乱す重大な問題です。早急に関係当局による規制強化と、ドライバーの意識改革が必要です。」と警鐘を鳴らしています。 背景には、コロナ禍で失業したドライバーや、高収入を求める外国人労働者がいると考えられます。しかし、違法行為は決して許されるものではありません。より安全で安心な旅客輸送を実現するためにも、この問題への対策が急務となっています。

まとめ:観光立国日本を守るために

緑ナンバー名義貸しは、白タク問題の新たな形として深刻化しています。摘発リスクが低いという現状が、違法行為を助長している一因と言えるでしょう。関係当局による迅速な対策、そして私たち消費者も、安易に違法ハイヤーを利用しないという意識を持つことが重要です。 日本の観光産業を守るためにも、この問題への関心を高め、解決に向けて共に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。