フジテレビ、第三者委報告書公表:中居正広氏と女性A氏のトラブルで「性暴力」「二次加害」認定、企業体質に厳しい指摘

フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスは、中居正広氏と女性A氏のトラブルに関する第三者委員会の調査報告書を公表しました。報告書は、女性A氏が中居氏から性暴力被害を受けたと認定し、フジテレビの対応は被害を拡大させる二次加害にあたると厳しく批判しています。

第三者委、フジテレビの対応を「経営判断の体をなしていない」と断罪

第三者委員会は、中居氏と女性A氏との間に権力格差が存在し、フジテレビの業務の延長線上における性暴力であったと認定。港社長ら経営陣はプライベートの問題と即断せず、事実確認と適切な対応をすべきだったと指摘し、「被害者ケア・救済の観点からも不十分な対応」と批判しています。

さらに、中居氏の利益のために動いたフジテレビ幹部の行為は女性A氏への二次加害にあたり、経営陣の人権問題リスクへの認識不足を指摘。「思慮の浅い意思決定と被害者に寄り添わない対応」がフジテレビの信頼を失墜させたと断じています。

中居正広氏と女性A氏のトラブルに関する調査報告書中居正広氏と女性A氏のトラブルに関する調査報告書

企業風土の問題点:ハラスメント蔓延、日枝氏の影響力

第三者委員会は、フジテレビには社員、アナウンサーが取引先との関係構築に利用されるなど、ハラスメントが蔓延していたと指摘。こうした企業風土が被害申告をためらわせ、負の連鎖を生み出していると分析しました。

また、日枝久取締役相談役が人事権を掌握していると感じる社員が8割を超えるというアンケート結果を明らかにし、日枝氏の影響力の大きさを指摘。セクハラに寛容な企業体質は日枝氏だけでなく、役職員全員の責任であるとしました。

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再発防止への提言:被害者への謝罪、人権デューデリジェンス強化など

再発防止策として、第三者委員会は被害女性への謝罪、被害救済、人権方針実施体制の見直し、人権デューデリジェンスの強化、人権救済メカニズムの構築などを提言。リスク管理体制の見直し、取引先・取材先からのハラスメントへの対応、人材の多様性の確保、役員指名ガバナンスの強化も求めました。

メディア・エンターテイメント業界全体の課題

さらに、性的暴力・ハラスメントはフジテレビに限らず、メディア・エンターテイメント業界全体の構造的な課題だと指摘。「ここは芸能界だから」という加害者の甘えが被害を再生産し、人材の枯渇につながる恐れがあると警告。業界全体で健全化に向けた取り組みを進めるべきだと提言しています。

調査報告書の概要調査報告書の概要

まとめ:フジテレビの未来

今回の第三者委員会の報告書は、フジテレビの企業体質にメスを入れる厳しい内容となりました。真摯な謝罪と再発防止策の実行、そして業界全体の意識改革が求められています。フジテレビの今後の対応に注目が集まります。