欧州防衛の大変革:トランプショックからウクライナ侵攻、そしてNATOの未来

欧州の安全保障体制が劇的に変化しています。トランプ前米大統領のNATO軽視発言からロシアのウクライナ侵攻まで、一連の出来事が欧州各国に自立への意識を植え付け、長年のタブーを打ち破る政策転換を引き起こしています。jp24h.comでは、この変革の波を深く掘り下げ、今後のNATOのあり方を探ります。

ドイツの「債務ブレーキ」解除:歴史的転換点

メルツ氏が主導するドイツの「債務ブレーキ」解除は、欧州防衛における大きな転換点と言えるでしょう。これまで厳格に制限されていた国防費が大幅に増額される見込みで、専門家の中には今後10年間で6000億ユーロ(約97兆円)に達すると予測する声も上がっています。「トランプショック」が、この歴史的転換のきっかけとなったと分析する欧州外交評議会のピョートル・ブラス氏の見解は、欧州の現状をよく表しています。

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核抑止力の再考:マクロン大統領の提言

フランスのマクロン大統領は、自国の核戦力の適用範囲を同盟国に拡大する可能性を示唆しました。これは、米国への依存からの脱却を目指す「戦略的自立」路線を明確に打ち出したもので、メルツ氏の核抑止力拡大に関する英仏協議の提案とも呼応しています。ポーランドのトゥスク首相もこの動きを支持し、自国の核保有の可能性まで示唆するなど、欧州の核戦略をめぐる議論は激化しています。

タブー崩壊:地雷禁止条約からの脱退

ポーランド、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、対人地雷禁止条約(オタワ条約)からの脱退を勧告する共同声明を発表しました。長きにわたり、大規模戦争終結の象徴とされてきた条約からの脱退は、欧州の安全保障政策における大きな変化を象徴しています。リトアニアは既に地雷の購入を発表し、ポーランドも国内生産を検討するなど、具体的な動きも加速しています。さらに、リトアニアはクラスター爆弾禁止条約からも離脱し、世界に衝撃を与えています。

徴兵制の復活:デンマークの動き

デンマークは2026年から女性も徴兵対象とし、一部の職務の健康要件を緩和するなど、徴兵制を強化する動きを見せています。これは、欧州全体の安全保障意識の高まりを反映したもので、他国への波及効果も予想されます。

欧州防衛の未来:自立への道

トランプ前大統領の「米国第一主義」とロシアのウクライナ侵攻は、欧州に大きな衝撃を与え、安全保障政策の抜本的な見直しを迫っています。長年のタブーが次々と打ち破られ、NATOの未来像も大きく変化していく可能性があります。今後の欧州の動向から目が離せません。