小惑星「2024 YR4」:月の衝突確率2%、科学的発見のチャンス到来?

2032年に地球への衝突が懸念されていた小惑星「2024 YR4」の新たな標的は、なんと月である可能性が出てきました。このエキサイティングな展開に、世界の科学者たちの注目が集まっています。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による最新観測結果

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた5時間にわたる観測を実施。その結果、「2024 YR4」が月に衝突する確率は2%と算出されました。これは、以前の1.7%からわずかに上昇した数値です。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による小惑星「2024 YR4」の観測の様子ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による小惑星「2024 YR4」の観測の様子

さらに、JWSTの赤外線観測により、小惑星の大きさが幅約60メートルであることも判明しました。地上の望遠鏡によるこれまでの推定値(40~90メートル)よりも精度が高まり、誤差は7メートル程度となっています。

地球衝突の可能性はほぼゼロ、科学的探求の新たな希望

当初3%台まで上昇した地球衝突の確率は、現在ではほぼゼロに近づいています。NASAの地球近接天体研究センター(CNEOS)のデータによれば、衝突確率は0.0011%と極めて低い値です。

地球への脅威は去りましたが、科学者たちは「2024 YR4」が月に衝突する可能性に期待を寄せています。小惑星が月に衝突する瞬間を観測できれば、クレーターの形成過程など、貴重な科学的データを得られる絶好の機会となるからです。

月衝突時の閃光観測:条件と可能性

ケント大学のマーク・バーシェル教授は、月衝突時に発生する閃光を観測できる可能性について言及しています。ただし、観測には厳しい条件が伴います。小惑星が地球側の月の陰の部分に衝突する必要があり、観測地点の天候も重要です。

小惑星「2024 YR4」の軌道。白線が軌道を示す小惑星「2024 YR4」の軌道。白線が軌道を示す

すべての条件が整えば、天体望遠鏡だけでなく双眼鏡でも閃光を観測できる可能性があるとのこと。これは、小惑星の質量や速度といった情報が事前にわかっている「2024 YR4」だからこそ期待できることです。

宇宙ミッション計画諮問グループ(SMPAG)の今後の動向

欧州宇宙局(ESA)が議長を務めるSMPAGは、4月末または5月初めに「2024 YR4」のリスクに関する会議を開催予定です。小惑星が観測範囲から外れる前に、最新の情報を共有し、今後の対応を協議する重要な機会となります。

まとめ

小惑星「2024 YR4」の月衝突の可能性は、科学界に新たな探求の扉を開くかもしれません。今後の観測結果に注目が集まります。