【ワシントン=住井亨介】ポンペオ米国務長官は14日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)対策を協議するため国務省で開催された有志連合の閣僚級会合で演説した。シリアなどで拘束されているIS戦闘員について「有志連合の参加国は数千人の外国人テロリストを引き取り、残虐行為の責任を取らせなければならない」と強調。テロを警戒して帰還に難色を示す欧州各国など戦闘員の出身国に受け入れを求めた。
米国務省によると、シリア北部では約1万人のIS戦闘員とその家族数万人が拘束されている。戦闘員の多くは外国人で少数民族クルド人の民兵部隊などが収容・監視にあたっている。
国務省でテロ対策を担当するセールス調整官は会合後の記者会見で、戦闘員の帰還問題について「米国などに解決を期待すべきではない」とし、各国が責任を分担する必要性を指摘した。
また、ポンペオ氏は演説で、米軍のシリア撤収に対する各国の懸念を念頭に「米国は有志連合を主導し続ける」と明言し、IS掃討作戦を継続する意向を示した。
非公開の会合では世界各地に拡散したISに対する圧力強化も協議。セールス氏は、西アフリカやサヘル(サハラ砂漠南縁部)で高まっているISの脅威に対処するため、来年の早い時期に有志連合の会合を開催することを明らかにした。