ふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法として、同市が高市早苗総務相に決定の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪高裁で開かれたことを受け、同市の千代松大耕(ひろやす)市長は閉廷後に大阪市内で記者会見し、「総務省の失政の責任逃れ。地方の努力を踏みにじっている」と憤りをあらわにした。
千代松氏は弁護士らとともに会見に臨み、同省が同市を除外したことについて「(改正地方税法に基づく)総務大臣の一片の告示で、自治体指定の基準を法改正前にさかのぼって適用している」などと批判した。亀山元(はじめ)弁護士は「国側は除外決定の根拠を大臣告示に置いているが、告示は法の委任範囲から逸脱しており、それ自体が違法」との見解を示した。
国側はこの日、法廷で意見陳述。同市などが高額な返礼品で寄付を募ったことについて「制度に対する信頼や理解、納得感を損ない、政策目的が破壊されかねない事態だった。2度の通知で自発的な改善を求めたが、対応を改めなかった」と除外の正当性を強調した。
総務省の通知は、返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」などとする基準を守るよう求めたもの。千代松氏は「総務省は技術的助言にすぎない通知を何度も出すことで自治体間で解釈の差を生み、混乱を招いた。失政の責任を自治体に押しつけている」と指摘。
「(泉佐野市は)ふるさと納税には確固たる信念に基づき取り組んできた。地方の声を聞かずに一律に規制する総務省の対応は、地方の努力を踏みにじっていると常々感じてきた」と不満をぶつけた。
また、訴訟を通じて国民に自治体が置かれた状況を知らせることができるとして「本当の意味での地方自治を目指すうえで大変意義のある裁判」と語った。