インターネット時代を駆け抜けた「神のインフルエンサー」、カルロ・アクティス。ミレニアル世代初の聖人として今月列聖される予定の彼ですが、聖遺物を巡る騒動が波紋を広げています。アッシジ大司教がオンライン競売への出品を問題視し、警察に通報する事態へと発展しました。
聖遺物オンライン競売の真相
今月27日、バチカンのサンピエトロ広場で列聖式を控えるカルロ・アクティス。15歳の若さで白血病によりこの世を去った彼は、生前コンピューターに精通し、カトリックの教えをインターネットで発信し続けたことから「神のインフルエンサー」と呼ばれ、若い世代から絶大な支持を集めています。
そんなアクティスの聖遺物とされる髪の毛が、オンライン競売に出品されるという事件が発生しました。匿名の出品者によって開始された競売は、入札額が32万円を超えるまでに加熱。しかし、アッシジ教区を管轄するソレンティーノ大司教が警察に通報したことで出品は撤回されました。
アッシジにあるアクティスさんの墓を訪問しようと列をつくる巡礼者たち
カトリック教会の聖遺物に対する見解
カトリック教会において、聖遺物は信者にとって信仰の対象として大切にされてきました。聖人や聖人候補の聖遺物の前で祈りを捧げることは推奨されていますが、教会法では聖遺物の売買は明確に禁じられています。
ソレンティーノ大司教は今回の件について、「金銭崇拝は許されるものではない。悪魔の関与を恐れている」と強い懸念を示し、ペルージャ警察に被害届を提出しました。警察は現在、聖遺物とされる毛髪の販売について捜査を進めています。
聖遺物の真贋と宗教的感情への配慮
ソレンティーノ大司教は教区のウェブサイトで、出品物の真贋は不明ながらも、たとえ偽物であったとしても宗教的感情を踏みにじる行為であると指摘。「欺瞞があれば単なる詐欺ではなく、宗教的感情への侮辱に当たる」と述べ、断固とした姿勢を示しました。
インターネット時代の聖人、その影響力
2006年に15歳で亡くなったアクティスは、若い信者の間でキリスト教徒の模範として広く認知されています。ソレンティーノ大司教は、アクティスが列聖されれば「インターネットの守護聖人」のような存在になるだろうと述べています。今回の騒動は、インターネット時代における聖人の在り方、そして信仰と商業主義の境界線について改めて考えさせられる出来事となりました。
まとめ:列聖を前に揺れる「神のインフルエンサー」
カルロ・アクティスの列聖を目前に、聖遺物オンライン競売騒動が波紋を広げています。 信仰の対象を商業利用することへの是非、そしてインターネット時代における信仰の在り方など、多くの課題を投げかける出来事となりました。 今後の捜査の進展、そして列聖式への影響が注目されます。