経団連は15日、韓国経済団体の全国経済人連合会(全経連)との首脳懇談会を東京都内で開催し、「未来志向の日韓関係の発展に貢献していく」との共同声明を採択した。会合開催は2年ぶり。いわゆる徴用工問題をきっかけに日韓の対立が深まる中、経済界の対話継続を重視。「経済・産業協力を一層拡大させ、世界経済発展にも貢献する」ことを再確認した。
具体的な協力分野として、技術革新での連携や第三国市場での企業間協力、青少年交流の拡大を挙げた。また、若者の就職難が社会問題化している韓国で、人手不足の日本企業への就職支援に取り組むことでも一致した。
日韓の経済界は、半導体関連などのサプライチェーン(供給・調達網)で相互依存関係にある。経団連の中西宏明会長は記者団の取材に応じ、日韓関係悪化について「安全保障分野にまでおよぶ極めて厳しい状況だ。このまま(対話の)チャネルが細くなることだけは避けたい」と述べた。その上で、「技術革新でアジアの発展にどう貢献できるかなどを具体的に探りたい」と強調した。
また、全経連の許昌秀会長(ホ・チャンス、GSグループ会長)はあいさつで、「両国が経済連携や市場経済の価値を守るために先頭に立つべきだ」と述べ、関係強化の重要性を訴えた。韓国側は、日本の輸出管理厳格化を念頭に、貿易軋(あつ)轢(れき)の早期解決や通貨スワップ協定再開の検討について要望した。ただ、同協定は平成27年に韓国側が破棄を通告しただけに財務省は慎重姿勢。日本側は「アジア通貨危機後に必要性がでている」と述べるにとどめた。
経団連は中西会長、古賀信行審議員会議長(野村ホールディングス会長)ら8人が、全経連は許会長、金●(=金へんに允)副会長(キム・ユン、三養ホールディングス会長)ら13人が出席した。
経団連と全経連との定期協議は昭和58年にスタート。一時中断後、平成26年からほぼ毎年開催している。昨年は、公式協議は見送り、中西会長が訪韓し、許会長らと会談した。全経連は朴槿恵(パク・クネ)前政権との癒着が批判され、サムスングループや現代グループなど大手財閥が脱退した経緯がある。