日本の観光ブームが再燃し、世界中から多くの旅行者が訪れています。中でも注目すべきは富裕層の増加。彼らは一体日本の何に惹きつけられているのでしょうか？グローバル企業のトップやハリウッド関係者など、VIPのアテンド経験を持つ筆者が、富裕層が日本に熱視線を送る本当の理由を紐解きます。
なぜ富裕層は日本を選ぶのか？
コロナ禍を経て、日本の入国制限が撤廃されてから2年。訪日外国人旅行者数は右肩上がりです。もちろん円安の影響も無視できませんが、それだけではありません。特に富裕層は世界中どこへでも行けるにも関わらず、日本を選んでいるのです。「やっと来日できた！」「家族や友人も日本に行きたがっている」という彼らの言葉から、日本の真の魅力が見えてきます。それは、人々の温かさ、懐かしい風景、そして安全で秩序ある社会。これら3つの要素が複雑に絡み合い、彼らを魅了しているのです。
日本の「当たり前」が富裕層には新鮮な驚き！
京都でプライベート通訳をしていると、お茶や金継ぎ、陶芸体験などに同行する機会が多くあります。これらのアクティビティは、お寺や京町家で行われることが多いのですが、先日、大手証券会社に勤めるファミリーに同行した際、興味深い出来事がありました。
京都の京町家
アクティビティ終了後、老舗商店の京町家を見学させていただいたのですが、彼らが最も興味を示したのは、美しい日本庭園でも、歴史ある茶室でもなく、居間にあった仏壇でした。特に、年季の入った過去帳に釘付けになり、アクティビティ以上に前のめりになっていました。
彼らの多くはキリスト教徒やユダヤ教徒。ユダヤ教徒は民族間のコミュニティを大切にし、富裕層は家族や親族の絆が深い傾向があります。日本人の先祖を祀り、仏壇という形で継承する文化に、彼らは温かみと親近感を覚えるようです。
また、家という日常空間に、先祖代々の名前が記された古いノートが当然のように保管されていることに、新鮮な驚きを感じている様子でした。手書きの毛筆や墨の掠れ具合も、Z世代にはクールに見えるようです。京都の料理研究家、藤田美智子先生も「日本の伝統文化は、若い世代にも新鮮に映るのでしょう」と語っています。
現金文化もエンタメ？ノスタルジーを感じる日本
仏壇のエピソード以外にも、富裕層は日本の日常生活をユニークな視点で見ています。例えば、買い物のシーン。日本ではキャッシュレス決済が進んでいるとはいえ、「現金のみ」の店もまだ多く存在します。一方、欧米の先進国ではキャッシュレス化が加速し、現金を使う機会はほとんどありません。
彼らにとって、現金を使う行為自体が珍しい体験。財布から紙幣や硬貨を取り出し、店員に手渡すというアナログなやり取りに、ノスタルジーを感じているようです。まるでタイムスリップしたかのような感覚なのかもしれません。 経済アナリストの山田一郎氏も「日本の現金文化は、彼らにとっては一種のエンタメになっている」と分析しています。
まとめ：日本再発見の旅へ
富裕層が日本に魅了される理由は、円安だけではありません。人々の温かさ、懐かしい風景、そして安全な社会。これらが絶妙に融合し、彼らを惹きつけているのです。私たちも改めて日本の魅力を見つめ直し、彼らと同じ目線で日本を再発見してみませんか？
