EUがアメリカのトランプ前大統領の鉄鋼・アルミニウム関税に対する報復措置を決定する上で、イタリアのメローニ首相の動向が大きな焦点となっています。EU経済規模第3位のイタリアは、ドイツやフランスといった強硬派とは異なり、慎重な姿勢を見せており、その決断がEU全体の対米戦略を左右する可能性があるのです。
イタリア、EUの対米報復に慎重姿勢
EUはアメリカの鉄鋼・アルミニウムへの高関税に対し、報復関税の発動を検討してきました。しかし、加盟国間で意見が分かれており、施行が延期されてきました。ドイツとフランスは強硬な報復を主張する一方、イタリアは対米関係への影響を懸念し、慎重な姿勢を保っています。
メローニ首相は、高関税には反対しつつも、対話による解決を重視しており、報復関税の発動には消極的です。この背景には、イタリアの高い対米貿易依存度があります。アメリカはイタリアにとって第2位の輸出先であり、経済的な影響を最小限に抑えたいという思惑が透けて見えます。
イタリアのメローニ首相
ドイツ・フランス、イタリアの支持を必要とする理由
EUの報復関税発動には、加盟国の一定の賛成が必要となります。イタリアはEU人口の約13%を占めており、イタリアが反対すれば、報復措置の実現は困難になります。そのため、ドイツとフランスはイタリアの支持を取り付けようと、圧力を強めていると報じられています。
経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「イタリアの決断は、EU全体の対米戦略に大きな影響を与えるだろう。もしイタリアが報復に反対すれば、EUの結束力が問われることになる」と指摘しています。
自動車関税、デジタル税…今後の展開は?
鉄鋼・アルミニウム関税以外にも、自動車関税やデジタル税など、米欧間の貿易摩擦は複雑な様相を呈しています。EUは「反経済的威圧措置(ACI)」の発動も検討しており、今後の展開が注目されます。
ACI発動の可能性
ACIは、EU加盟国に対する経済的威圧に対して、サービス、投資、金融市場など様々な分野で制限を加えることができる強力な措置です。しかし、イタリアをはじめとする慎重派の加盟国は、ACI発動による更なる対立激化を懸念しています。
国際経済ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「ACIの発動は、米欧関係に深刻な亀裂を生じさせる可能性がある。EUは慎重に判断する必要がある」と述べています。
イタリアの決断、世界経済に波及
イタリアのメローニ首相の決断は、EUの対米戦略だけでなく、世界経済にも大きな影響を与える可能性があります。保護主義の台頭が懸念される中、イタリアの動向に世界中が注目しています。
まとめ
イタリアのメローニ首相は、EUの対米報復関税をめぐり、難しい判断を迫られています。対米関係とEU内での立場、そして世界経済への影響を考慮しながら、どのような決断を下すのでしょうか。今後の展開から目が離せません。