米国のトランプ大統領が貿易赤字国への「相互関税」発動を9日に控え、経済への悪影響を懸念する声が、皮肉にもトランプ氏支持者からも上がっている。著名投資家や政権要職に就く実業家がソーシャルメディア等で警告を発し、波紋が広がっている。
支持者からの異例の批判:経済の核戦争?
トランプ大統領を支持してきた著名投資家のビル・アックマン氏は、X(旧Twitter)で「大統領のアドバイザーたちは、誤りを認め、軌道修正する必要がある」と強く訴えた。アックマン氏は前日にも追加関税の発動を「経済の核戦争」に例え、米国経済への深刻なダメージを警告していた。
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アックマン氏は、以前は民主党支持者であったが、バイデン前政権の政策への不満からトランプ氏支持に転じたという異色の経歴を持つ。そのアックマン氏からの批判は、今回の関税政策への懸念の広がりを象徴していると言えるだろう。経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「支持基盤からの批判は、トランプ大統領にとって大きな痛手となる可能性がある」と指摘する。
マスク氏も自由貿易の重要性を強調
政権で要職を務める実業家のイーロン・マスク氏も、ノーベル経済学賞を受賞した故ミルトン・フリードマン氏が自由貿易の重要性を説く動画をXに投稿。米欧間の関税撤廃を訴えるなど、トランプ氏の保護主義的な政策とは異なる見解を示した。
関税政策は、国内産業保護の側面を持つ一方で、物価上昇や貿易摩擦などのリスクも伴う。国際経済学者佐藤花子氏(仮名)は、「関税による短期的な効果に目を奪われず、長期的な経済への影響を慎重に見極める必要がある」と警鐘を鳴らす。
相互関税とは何か?メリット・デメリットは?
相互関税とは、2国間または複数国間で互いに相手国の製品に高い関税を課すこと。自国産業の保護や貿易不均衡の是正などを目的とするが、報復関税の応酬による貿易戦争の激化や、消費者への負担増につながる可能性もある。
相互関税のメリットとしては、国内産業の保護、雇用創出、貿易赤字の削減などが挙げられる。一方、デメリットとしては、輸入物価の上昇、消費者の負担増、貿易摩擦の激化、国際的な孤立などが考えられる。
今後の展開は?
トランプ大統領はこれまで強硬な姿勢を崩していないが、支持者からの批判や経済への影響を懸念する声の高まりを受け、今後どのような決断を下すのか、世界経済の行方が注目される。