鳥インフルエンザ防疫の最前線:過酷な実態と外国人労働者の問題

鳥インフルエンザの猛威が日本列島を襲う中、防疫の最前線で働く人々の過酷な実態が明らかになっています。今回は、愛知県で発生した鳥インフルエンザの防疫作業に携わった作業員たちの証言を元に、その実情に迫ります。

想像を絶する過酷な労働環境

愛知県では、今年1月に発生した鳥インフルエンザにより、186万8000羽もの鶏やウズラが殺処分されました。防疫作業を請け負った阪急交通社は、2次請け、3次請けの業者を通じて作業員を確保。解体業者である株式会社HINATAもその一つでした。

代表の濵中一氏によると、急遽の要請で集められた作業員たちは、想像を絶する過酷な環境に置かれていたといいます。昼食はカップラーメンとおにぎり1つのみ、宿泊費も支給されず車中泊を強いられるなど、劣悪な労働環境が浮き彫りになりました。

殺処分現場の様子殺処分現場の様子

不十分な食事と休息

作業員の一人である田中氏(仮名)は、昼食のカップラーメンすらお湯が足りず食べられないこともあったと証言。夜もコンビニ弁当を車内で済ませ、少しでも睡眠時間を確保しようとしていたといいます。「このままでは自分たちが先に死ぬのでは」と作業員同士で言い合うほど、追い詰められた状況だったと語っています。

宿泊施設の不足

P社からは1人4000円の宿泊費が提示されていましたが、濵中氏は「その金額で泊まれるホテルは限られており、現実的ではない」と指摘。ネットカフェ泊か車中泊を余儀なくされ、十分な休息が取れないまま作業を続けることになったといいます。

作業員の健康管理の欠如と感染症リスク

過酷な労働環境に加え、作業員の健康管理も杜撰だったことが明らかになりました。体温測定や常駐医の配置はなく、田中氏もインフルエンザを発症した際に自ら病院へ行くしかなかったといいます。他の作業員もインフルエンザや新型コロナウイルスに感染するなど、感染症リスクに晒されていました。

インフルエンザ感染の放置

田中氏は、体調不良を訴えても現場担当者からは適切な対応を受けられず、自ら病院へ行きインフルエンザと診断されたと証言。現場での感染症対策の不備が浮き彫りになりました。「食の安全を守る」という名目とは裏腹に、作業員自身の健康と安全は軽視されていたと言えるでしょう。

外国人労働者の問題

濵中氏によると、現場作業員の7割は外国人労働者で、その中にはビザ切れや就労資格のない者も含まれていたといいます。身元確認もずさんで、不法就労者でも容易に登録できてしまう状況だったと指摘しています。

不法就労の実態

濵中氏は、不法就労の実態を把握しており、証拠も保持していると主張。外国人労働者の就労状況の管理体制に疑問を呈しています。食品衛生の観点からも、このような状況は看過できない問題と言えるでしょう。

まとめ

鳥インフルエンザ防疫の現場では、過酷な労働環境、健康管理の欠如、外国人労働者の問題など、様々な課題が山積しています。関係当局は早急にこれらの問題に対処し、作業員の安全と健康を確保する必要があります。消費者の私たちも、この問題に関心を持ち、状況の改善を促していくことが重要です。