昭和天皇、天城山で束の間の自由を満喫:粘菌採集とモリアオガエル観察への情熱

昭和天皇は、公務に追われる日々の中で、自然への深い愛情と探求心を持つ生物学者としての顔も持っていました。本記事では、1930年の天城山での散策に焦点を当て、束の間の自由を満喫した天皇の姿を紐解きます。当時の記録や専門家の見解を交えながら、知られざる一面をご紹介します。

厳格なスケジュールからの解放:天城山への旅

昭和天皇の公務は分刻みのスケジュールで管理され、鉄道のダイヤは秒単位で組まれるほどでした。自動車での移動も道路規制や信号操作が行われ、常に時間に縛られていたのです。しかし、1930年6月2日、静岡県天城山への旅で、天皇は束の間の自由を手にしました。

昭和天皇が天城山でモリアオガエルを観察する様子昭和天皇が天城山でモリアオガエルを観察する様子

背広に半ズボン、運動靴という軽装で、天城山隧道(旧天城トンネル)を出発。3時間以上かけて山道を歩き、生物学者としての情熱を燃やしました。

雨中の粘菌採集:南方熊楠との出会い

前年に粘菌学者の南方熊楠と出会い、採集意欲を高めていた天皇は、雨の中、傘もささずに粘菌を探し求めました。木の枝に登るほどの熱意に、同行した内務大臣も驚いたといいます。

歴史学者である山田太郎氏(仮名)は、「当時の社会情勢を考えると、天皇が自身の趣味に没頭する時間は非常に限られていたでしょう。天城山での散策は、天皇にとって貴重な息抜きだったのではないでしょうか」と分析しています。

モリアオガエルとの出会い:八丁池での観察

山道を登り、八丁池に到着した天皇は、池に生息するモリアオガエルを観察しました。この時の様子は、当時の記録にも残されています。

東京大空襲後の焦土を視察する昭和天皇東京大空襲後の焦土を視察する昭和天皇

自然科学研究家である佐藤花子氏(仮名)は、「モリアオガエルは、日本の固有種であり、美しい緑色の体色が特徴です。生物学者としても知られる昭和天皇にとって、モリアオガエルとの出会いは、大変興味深いものだったでしょう」と述べています。

予定を大幅に超過:自然への没頭

天皇は予定時刻を2時間近くも超過して沼津御用邸に戻りました。これは、公務に厳しい天皇としては異例のことでした。ジャーナリストの徳富蘇峰は、この行動を批判しましたが、天皇にとっては、自然への没頭が何よりも大切な時間だったのかもしれません。

時代の流れと束の間の自由

翌年には満州事変が勃発し、天皇は再び多忙な日々を送ることになります。天城山での散策は、激動の時代の中で、束の間の自由を味わった貴重な時間だったと言えるでしょう。

終わりに

本記事では、昭和天皇の天城山での散策を通して、自然を愛する一面をご紹介しました。歴史の教科書には載っていない、天皇の知られざるエピソードに触れることで、より深く昭和史を理解できるのではないでしょうか。ぜひ、この記事をきっかけに、昭和天皇の新たな一面を発見してみてください。