EU、米IT企業への課税を検討か?―貿易摩擦激化の懸念

EUとアメリカの貿易摩擦が激化の兆しを見せています。EU委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、アメリカとの関税交渉が決裂した場合、GoogleやMetaなどのアメリカの大手IT企業への課税を検討していると明らかにしました。

貿易摩擦の背景

トランプ前政権時代に導入された鉄鋼・アルミニウムへの関税を巡り、EUとアメリカは長きにわたり交渉を続けてきました。しかし、双方の主張は平行線を辿り、合意には至っていません。フォン・デア・ライエン委員長は、「完全に均衡のとれた合意」を求めており、交渉が決裂した場合は対抗措置を取る構えを見せています。

EU委員長、フォン・デア・ライエン氏EU委員長、フォン・デア・ライエン氏

EUの対抗措置:デジタル課税

フォン・デア・ライエン委員長が示唆した対抗措置の一つが、アメリカの大手IT企業へのデジタル課税です。具体的には、GoogleやMetaなどの企業がEU域内で得るデジタル広告収入への課税が検討されています。これは、巨大IT企業による市場支配力への懸念の高まりを背景に、EUが以前から検討してきた施策でもあります。

デジタル課税の効果と課題

デジタル課税は、巨大IT企業の租税回避を防ぎ、公正な競争環境を整備する狙いがあります。しかし、アメリカ政府はEUのデジタル課税に反発しており、新たな貿易摩擦の火種となる可能性も懸念されています。

フランス・マクロン大統領もEUを支持

フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、EUの姿勢を支持しています。マクロン大統領は、自身のSNSで「不公平な関税を撤廃させ、バランスの取れた協定を結ぶために交渉すべきだ」と主張し、雇用と地域経済への影響を懸念しています。

今後の見通し

EUとアメリカの貿易摩擦は、世界経済に大きな影響を与える可能性があります。今後の交渉の行方によっては、デジタル課税のみならず、更なる対抗措置の応酬に発展する可能性も否定できません。国際貿易専門家の山田一郎氏(仮名)は、「両者の歩み寄りが不可欠であり、早期の解決が望まれる」と述べています。

まとめ

EUとアメリカの貿易摩擦は、デジタル課税導入の可能性を浮き彫りにしました。今後の交渉の進展が注目されます。世界経済への影響を最小限に抑えるためにも、双方の冷静な対応が求められます。