パデュー大学の韓国人学生、米ICEに逮捕:ビザ問題で強制送還手続きへ

米国インディアナ州パデュー大学に通う韓国人学生、コ・ヨンスさん(20)が、7月31日にニューヨークのマンハッタンでビザ手続きのため母親と共に出頭した際、移民税関捜査局(ICE)に逮捕されました。コさんは一時的にニューヨーク市内の施設に留置された後、ルイジアナ州の施設に移送されており、母親が司祭を務める聖公会などの教会関係者らが彼女の即時釈放を求めています。この逮捕は、トランプ政権下の強硬な移民政策が続く中で発生し、コさんは面談前から友人に対し不安を漏らしていたといいます。

逮捕の経緯と当局・家族の主張の相違

コ・ヨンスさんの逮捕に関して、米国土安全保障省(DHS)は、彼女が「2年以上前に期限切れとなった」ビザで米国に超過滞在していたためであり、国外退去手続きを急いでいると説明しています。しかし、コさんの母親が司祭を務める聖公会ニューヨーク教区の弁護士は、コさんのビザの期限は今年12月であり、今回の出頭はビザ延長申請の手続きも兼ねていたと反論しています。

弁護士は、コさんと母親が「いつも通りの手続き」だと思っていたものが「未知のブラックホール」に落ちてしまったと述べ、コさんがひどくおびえている状況を訴えました。パデュー大学の広報担当は、学生部がコさんの家族と連絡を取り合っていることを明らかにしています。

米国でICEに逮捕された韓国人学生、コ・ヨンスさん(20)の姿。彼女のビザ問題が強制送還手続きに発展し、国際的な注目を集めている。米国でICEに逮捕された韓国人学生、コ・ヨンスさん(20)の姿。彼女のビザ問題が強制送還手続きに発展し、国際的な注目を集めている。

コさんの母親であるキム・ギリさんは、韓国聖公会ソウル教区で女性として初めて司祭に任命された人物であり、現在は聖公会ニューヨーク教区のアジア担当を務めています。韓国聖公会の関係者によると、コさんは2021年に母親と共に宗教関係者の扶養家族ビザで米国に入国しました。

家族と支援者の反応、そして今後の懸念

コさんが留置されていたマンハッタンの施設付近では、8月2日に聖公会ニューヨーク教区などの関係者が集会を開き、釈放を求めて歌を歌い、祈りを捧げ、コさんの写真を掲げてデモ行進を行いました。友人であるガブリエラ・ロペスさんは、コさんが逮捕される前の面談当日にはすでに不安を感じていたことを明かし、「彼女の不安が現実になってしまった」と語っています。

コさんが逮捕された後、彼女自身から母親に電話があったものの、父親は4日になって初めて、娘がルイジアナ州の留置施設に移送されたことをオンライン記録で知ったと述べています。父親は、コさんがニューヨーク州の高校で熱心に勉学に励み、パデュー大学薬学部に入学したことに触れ、2年生になる準備をしていた娘の明るい未来を信じていたと話しました。そして、「ヨンスができるだけ早く釈放されるよう、韓国政府にはできる限り全力を尽くしてほしい」と強く訴えています。

この事態に対し、韓国外務省はコさんの逮捕をめぐり米当局と連絡を取り合っており、事態が明らかになって以来、領事館が継続的な支援を提供していることを明らかにしました。

まとめ

今回のパデュー大学に通う韓国人学生、コ・ヨンスさんの米国におけるICEによる逮捕は、ビザ問題とトランプ政権の強硬な移民政策が複雑に絡み合ったケースとして、国際社会の注目を集めています。当局と家族・支援者との間で主張に食い違いが見られる中、彼女の強制送還手続きが進められており、事態の早期解決に向けて韓国政府や関係機関のさらなる働きかけが期待されます。

参考文献

  • CNN
  • WCBS
  • WABC