米中貿易摩擦、NY市場を翻弄：経済混乱への懸念高まる

米中貿易摩擦の激化により、ニューヨーク市場は激動の渦中に巻き込まれています。トランプ前大統領の関税政策の二転三転が、株価や米長期金利の乱高下を招き、市場関係者は予断を許さない状況に直面しています。本記事では、米中貿易摩擦が市場に及ぼす影響、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

市場を揺るがすトランプ前大統領の関税政策

2018年、トランプ前大統領が中国への追加関税措置を発表したことを皮切りに、米中貿易摩擦は本格化しました。ダウ工業株30種平均は、関税発表後に2000ドル超の急落を見せたかと思えば、数日後には3000ドル近く急騰するなど、まさにジェットコースターのような値動きを記録しました。特に、トランプ前大統領が一部関税の停止を発表した際には、市場は大きく反応し、ダウの変動幅は一時3500ドルに達しました。このように、トランプ前大統領の一挙手一投足が市場を大きく揺さぶる状況が続いていました。

ニューヨーク証券取引所のトレーダー

経済混乱への懸念：専門家の見解

米中貿易摩擦の激化は、世界経済に深刻な影響を与える可能性があると懸念されています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、「貿易戦争と根強いインフレにより、経済は著しい混乱に直面している」と警鐘を鳴らしています。（出典：JPモルガン・チェース 2018年決算発表資料）

また、日系証券のアナリスト（仮名：山田太郎氏）は、「中国は関税引き上げ以外にも、米国債の売却や、中国に進出する米企業への締め付けなど、様々な報復措置を講じることが可能だ」と指摘しています。中国など海外投資家が米国債の保有を減らすことへの警戒感が高まる中、米長期金利の上昇が続けば、世界市場に大きな影響を与える可能性も懸念されています。

個人投資家の動向

市場の不安定な状況を受け、個人投資家の間にも不安が広がっています。ニューヨーク市内で住宅管理業務に従事する男性（51）は、保有株すべてを売却したと語っています。「米中対立は長期化すると予想されるため、変動の激しい取引に巻き込まれて損失を出したくない。現金化した方が安全だと判断した」と、市場の先行きに対する不安を吐露しました。