日本の若者と同様に、韓国の若者も銀行での安定したキャリアに魅力を感じなくなっているようです。この記事では、韓国の銀行業界が直面する採用難の実態と、その背後にある若者の意識変化について探ります。
高年収でも辞退続出!韓国銀行業界の苦悩
韓国では、大手銀行が提示する年収6000万ウォン(約660万円)という高額にもかかわらず、入社を辞退する若者が増加しています。 大手銀行の新卒採用に合格しながらも、最終的に入社を辞退する“高スペック就活生”が相次ぎ、銀行業界は深刻な人材不足に頭を悩ませています。
韓国の銀行
例えば、ある市中銀行では、昨年下半期の一般職採用者のうち、研修を終えて実際に配属されたのはわずか半数程度だったという事例も報告されています。韓国の金融専門家、パク・ミンホ氏はこの状況について、「優秀な人材の確保が難航していることは、銀行業界の将来にとって大きな課題となるでしょう」と警鐘を鳴らしています。
安定よりもやりがい?若者の価値観の変化
銀行は、新卒の初任給が最も高い業界の一つとして知られています。韓国4大市中銀行の初年度年収は、各種手当を含めると6000万~6500万ウォンにも達します。しかし、それでも若者にとっての魅力は薄れつつあるようです。辞退した合格者の多くは、大手企業やIT企業など、より成長性や柔軟性のある企業を選択していることが明らかになっています。
自由な働き方への憧れ
近年の若者は、「安定」よりも自由な勤務環境や柔軟な働き方、会社の成長ビジョンや企業文化を重視する傾向があります。これは、日本だけでなく韓国の若者にも共通する傾向と言えるでしょう。
企業文化への意識の高まり
各種就職情報サイトに寄せられた銀行への評価を見ると、「給与」や「福利厚生」「ワークライフバランス(WLB)」の面では高評価を得ている一方、「組織文化」や「将来性」に関するコメントは概して否定的です。硬直的な組織構造や、将来性に不安を感じている若者が多いことが伺えます。
2025年の採用動向:銀行業界の未来は?
2025年上半期の韓国4大銀行の採用予定人数は、前年と大きな変化はありません。KB国民銀行は110人(前年より+10人)、新韓銀行は90人(-10人)、ハナ銀行は150人(前年と同数)、ウリィ銀行は190人(+10人)と発表されています。一方、NH農協銀行は上半期の採用計画を立てていません。
韓国の銀行の採用
ある銀行関係者は、「合格しても入社しないケースは最近増えているが、これが一時的な現象なのか、トレンドなのかはまだ判断できない」としながらも、若者の価値観の変化に対応していく必要性を示唆しています。韓国の銀行業界は、優秀な人材を確保するために、企業文化の改革や働き方改革など、抜本的な対策を迫られていると言えるでしょう。
まとめ:変化への対応が鍵となる
韓国の銀行業界は、高年収を提示しても若者から敬遠されるという、深刻な人材不足に直面しています。これは、若者の価値観の変化、特に「安定」よりも「やりがい」や「自由な働き方」を重視する傾向が強まっていることが背景にあります。銀行業界が生き残っていくためには、これらの変化に柔軟に対応し、魅力的な職場環境を構築していくことが不可欠となるでしょう。