韓国経済団体、徴用被害者支援財団へ寄付:日韓関係の新たな局面を迎えるか

韓国経済団体である大韓商工会議所と韓国経済人協会が、日本企業に代わり徴用被害者への賠償金を支払う「日帝強制動員被害者支援財団」へ合計30億ウォン(約3億円)を寄付しました。この動きは、冷え込んだ日韓関係に新たな局面をもたらすのでしょうか。

韓国経済界の動き:日韓関係改善への期待

大韓商工会議所と韓国経済人協会は、それぞれ15億ウォンを同財団に寄付。これは、ポスコに続く企業・団体からの寄付となります。ポスコは、1965年の日韓請求権協定に基づき韓国政府が日本から受け取った経済協力資金で成長した企業として、これまでに60億ウォンを寄付しています。

韓国の市民団体メンバーが東京で集会を開き、日本企業による徴用被害者への謝罪と賠償を求める様子(民族問題研究所提供)韓国の市民団体メンバーが東京で集会を開き、日本企業による徴用被害者への謝罪と賠償を求める様子(民族問題研究所提供)

これらの寄付は、日韓関係改善への期待を込めたものと見られています。韓国経済界は、円滑な経済交流の再開を強く望んでおり、今回の寄付がその一助となることを期待しているのでしょう。経済アナリストの山田一郎氏は、「韓国経済界の動きは、日韓関係の改善に向けた積極的なシグナルと言えるでしょう。両国経済の相互依存性を考えると、関係改善は双方にとって大きなメリットとなります」と述べています。

尹政権の取り組みと課題:第三者弁済の行方

尹錫悦前政権は2023年3月、徴用訴訟問題の解決策として、同財団が日本企業の賠償金を肩代わりする「第三者弁済」を発表しました。しかし、この解決策は、被害者や支援団体からの反発も大きく、真の解決には至っていません。

韓国政府は、韓日の民間の自発的な寄付を募っていますが、日本側は今のところ応じていません。徴用訴訟で勝訴した被害者への賠償金支払いが相次ぎ、財団の財源が枯渇しつつある中、今回の経済団体からの寄付は財団にとって貴重な支援となります。

徴用被害者遺族と市民団体が東京で集会を開き、日本企業の謝罪と賠償を求めている(民族問題研究所提供)徴用被害者遺族と市民団体が東京で集会を開き、日本企業の謝罪と賠償を求めている(民族問題研究所提供)

今後の日韓関係:真の和解に向けて

今回の寄付は、日韓関係改善に向けた一歩となる可能性がありますが、真の和解には、両国政府間の更なる努力が必要です。歴史認識の問題、経済協力の再開、安全保障協力など、解決すべき課題は山積しています。国際政治学者の佐藤花子氏は、「今回の寄付は、日韓関係改善への小さな一歩と言えるでしょう。しかし、真の和解には、過去の清算と未来志向の協力が必要です。両国政府は、対話を継続し、信頼関係を構築していくことが重要です」と指摘しています。

韓国経済界の動きが、日韓関係の未来にどのような影響を与えるのか、今後の動向に注目が集まります。