人生には、予期せぬ困難が待ち受けていることがあります。華やかなキャリアを築き、世界的に活躍する経済学者であっても、例外ではありません。この記事では、経済学者の視点から、うつ病との闘い、そして回復までの道のりを深く掘り下げていきます。50歳を過ぎてから発症した壮絶な体験を通して得た学び、そして希望の光について、共に考えていきましょう。
若き日の異変:シェイクスピアと影を落とす不安
英国ウォーリック大学。シェイクスピアの故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォン近郊に位置するこの美しいキャンパスで、私は若手研究会に参加していました。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの客員講師を終え、意気揚々と臨んだはずのワークショップでしたが、心に奇妙な影が落ちていました。
発表の機会を辞退し、シェイクスピアの『から騒ぎ』の観劇に逃避する自分。数週間後、家族との再会でようやく安堵感を得たものの、この時の違和感は、後に私を襲ううつ病の予兆だったのです。
ウォーリック大学のような自然豊かなキャンパスでの研究活動は、一見すると理想的に見えるかもしれません。
50歳を過ぎてからの試練:イェール大学と躁うつ病の襲来
人生最大の転機は、50歳を過ぎて東京大学からイェール大学に転勤した後に訪れました。激しいうつ病、後に躁うつ病(双極性障害)と診断された病魔との闘いの始まりです。
イェール・ニューヘイブン病院の隔離病棟での入院生活は、想像を絶するものでした。しかし、この経験を通して、私は貴重な学びを得ることができたのです。
どん底からの希望:内田舞医師との出会い
絶望の淵に立たされた私にとって、ハーバード大学の内田舞医学博士との出会いは大きな転機となりました。共著で執筆した『うつを生きる』(文春新書)は、私自身の体験を綴っただけでなく、多くのうつ病患者にとっての希望の光となることを願って書き上げたものです。
内田医師は、執筆活動がうつの再発につながるのではないかと心配する私に、「むしろ、うつの治療になると思います」と力強い言葉をかけてくれました。当時は半信半疑でしたが、今となってはその言葉の真意を深く理解しています。
うつ病からの回復:自分自身と向き合う旅
うつ病は、決して一人で抱え込むべきものではありません。専門家のサポート、家族や友人の理解、そして自分自身と真摯に向き合うことが、回復への道を切り開く鍵となります。
私の経験が、少しでも多くの人の心に寄り添い、希望の光となることを願っています。そして、この病と闘っている全ての人々に、心からのエールを送りたいと思います。
経験から得た学び:未来へのメッセージ
この体験を通して、私は多くのことを学びました。中でも特に重要だと感じたのは、以下の3点です。
- 自分の心の声に耳を傾けることの大切さ
- 周囲のサポートの力強さ
- 諦めずに希望を持ち続けることの重要性
今、そして未来へ:新たな挑戦
うつ病を克服した今、私は新たな挑戦を続けています。この経験を糧に、これからも社会に貢献していく所存です。
この記事を読んでくださった皆様に、心より感謝申し上げます。もし、あなたが、またはあなたの大切な人がうつ病で苦しんでいるなら、決して諦めないでください。希望は必ずあります。
この記事が、うつ病に関する理解を深め、多くの人にとっての支えとなることを願っています。そして、読者の皆様が、自分自身の人生をより豊かに、そして幸せに生きていくための一助となれば幸いです。