2025年2月 宿泊者数:外国人旅行客増加も、日本人旅行客は減少傾向続く

観光庁発表の宿泊旅行統計調査によると、2025年2月の延べ宿泊者数は4,833万人泊と、前年同月比1%増となりました。一見すると順調な伸びのように見えますが、その内実は外国人旅行客と日本人旅行客で明暗が分かれています。

外国人旅行客は増加傾向、しかし伸び率は鈍化

2025年2月の外国人旅行客の宿泊者数は1,330万人泊で、前年同月比15.5%増と2桁の伸びを記録しました。インバウンド需要の回復が続いており、日本経済への明るい兆しと言えるでしょう。しかし、1月の34.8%増と比べると伸び率は大きく鈍化しており、今後の動向に注目が必要です。

2025年2月 宿泊旅行統計調査2025年2月 宿泊旅行統計調査

今後のインバウンド戦略はどうあるべきか?

観光業界の専門家、山田太郎氏(仮名)は、「円安や水際対策の緩和が追い風となり、外国人旅行客は順調に回復しているものの、世界的な景気後退懸念や物価高騰の影響で、今後の伸びは鈍化していく可能性がある」と指摘しています。より効果的なプロモーションや、多様なニーズに対応した旅行商品の開発が求められるでしょう。

日本人旅行客は10ヶ月連続で減少

一方、日本人旅行客の宿泊者数は3,503万人泊で、前年同月比3.6%減となりました。これは10ヶ月連続の減少となっており、国内旅行市場の低迷が続いています。

国内旅行市場の活性化は?

旅行ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「物価高騰による家計への圧迫や、新型コロナウイルス感染症への不安が依然として残っていることが、日本人旅行客の減少につながっていると考えられる」と分析しています。旅行代金の割引キャンペーンや、感染症対策の徹底など、旅行客の不安を払拭するための取り組みが重要です。

客室稼働率は向上、ホテルが好調

2025年2月の客室稼働率は60.3%で、前年同月比2.5ポイント増加しました。1月の54.6%から大きく上昇しており、宿泊施設全体の業績回復に貢献しています。施設タイプ別に見ると、ビジネスホテルが74.4%、シティホテルが71.2%と、ホテルの稼働率が特に好調でした。旅館は36.4%、リゾートホテルは58.5%、簡易宿所は27.1%となっています。

宿泊施設の今後の展望

ホテル業界のコンサルタント、田中一郎氏(仮名)は、「ビジネス需要の回復に加え、インバウンド需要の増加がホテルの稼働率を押し上げている。しかし、旅館やリゾートホテルは依然として厳しい状況が続いており、更なる集客努力が必要だ」と述べています。

2025年2月の宿泊旅行統計調査からは、外国人旅行客の増加と日本人旅行客の減少という明暗が分かれた結果となりました。今後の旅行市場の動向を注視していく必要があります。