転職者向けの求人情報サービスでは、「ボーナス後」に掲載社数が増える傾向があります。今も昔も「ボーナス」は、転職を真剣に考えるきっかけのひとつとされてきました。期待したほどの賞与が得られず転職を決意する人もいれば、想定以上の支給額に気持ちを引きとめられる人もいます。
「あれだけ頑張ったのに。未来ないな……」
関東在住の会社員・Bさん(20代)は、入社5年目の営業職です。年次的には中堅と呼ばれるほどではありませんが、仕事に不安はほとんどなく、クライアントにも自信を持って提案ができるようになっていました。社内では新卒採用の広報パンフレットに登場するなど、順調な会社員生活を送っていました。
勤務先は、社員数こそ多くないものの歴史が長く、退職者の少ない年功序列型の企業です。就職活動中、部活の先輩から「地元本社のホワイト企業」と勧められた通り、ノルマに強いプレッシャーを感じることもほとんどありません。
入社前にイメージした通りの環境で安心する気持ちもある一方、ほかの会社に行った大学時代の同級生が早くも管理職に昇進したり、営業成績を上げて年収が大きく跳ね上がったという話を耳にするたび、心のどこかにモヤモヤとした思いが募っていったといいます。
そんな折、数年前に契約が終了していた元顧客を、先輩社員から引き継ぐことになりました。
「ウチのミスで取引がなくなった会社だから、再契約は難しいだろうけど頑張ってみよう!」と考えたBさん、何と半年間で再び契約をまとめ、営業成績を前年比1.5倍に引き上げることに成功しました。
ところが、期待していた賞与は、評価にわずかな加点がついた程度で、実際に増えたのは額面で5万円ほどでした。
「営業成績が伸びなかったときでもマイナス評価になることは少ないらしいですが、さすがにここまで目に見える成果を出してもこの評価だと思うと、今後も頑張る気になれません。営業成績をアピールできるうちに転職しようと思いました」
成果に対する評価への期待が大きかったぶん、落胆もひときわ大きかったようです。