米中貿易摩擦が激化する中、ベトナムの外交手腕が改めて注目を集めています。中国の習近平国家主席がベトナムを訪問し、両国首脳会談が行われましたが、その中でベトナムはしたたかな外交戦略を展開しました。本記事では、米中両大国とのバランスを保つベトナムの「竹外交」について詳しく解説します。
米中のはざまで揺れるベトナム経済
ベトナム経済は、対中貿易赤字を対米貿易黒字で補填する構造となっています。2023年1-2月の対中貿易赤字は前年同期比45.8%増の120億ドルに達し、中国への経済依存度が高まっていることが浮き彫りになっています。一方、米国との貿易では巨額の黒字を計上しており、これが米国の貿易制裁の標的となっています。ベトナムは、米中両大国との経済関係のバランスをいかに保つかが課題となっています。
ベトナムと中国の国旗
習近平主席 訪越の真意
習近平国家主席は、ベトナムとの関係強化を図るため、異例の布陣でベトナムを訪問しました。王毅外相、魏鳳和国防相、趙克志公安相らも同行し、ベトナムとの戦略的連携を強化する姿勢を示しました。中国は、ベトナムに対し、米国への共同戦線を張ることを提案し、鉄道建設などの経済支援を提示しました。しかし、ベトナムは中国の提案に慎重な姿勢を崩していません。
ベトナムのしたたかな外交戦略
ベトナムは、中国からの経済支援を受け入れつつも、米国との関係悪化を避けたいと考えています。そのため、中国の提案に対して明確な回答を避け、南シナ海問題についても中国に自制を求めました。ベトナムは、米中両大国との関係を巧みに操り、自国の利益を最大化する「竹外交」を展開しています。
専門家の見解
忠北大学校のパク・サンス教授は、「ベトナムは米中両大国とのバランスを重視し、したたかな外交戦略を展開している」と指摘しています。「米国との貿易交渉を控えたベトナムは、中国からの経済支援を歓迎しつつも、米国を刺激するような行動は避けている」と分析しています。
ベトナムの「竹外交」の行方
ベトナムの「竹外交」は、米中対立が激化する中で、ますます重要性を増しています。ベトナムは、米中両大国との関係を巧みに操り、自国の利益を最大化していくと予想されます。今後のベトナムの外交動向に注目が集まります。
今後の展望
ベトナムは、今後も米中両大国とのバランスを重視した外交を展開していくと考えられます。経済成長を続けるためには、両国との良好な関係を維持することが不可欠です。ベトナムの「竹外交」は、国際社会においても注目すべき戦略と言えるでしょう。