名古屋市中学校給食:選択制から全員給食へ?保護者の負担と子どもたちの声

名古屋市の中学校給食は、全国的にも珍しい選択制。お弁当か、業者提供のスクールランチかを選べる制度です。しかし、全員が同じ給食を望む声も高まりつつあります。本記事では、生徒や保護者の声、専門家の意見、そして市長の見解を通して、名古屋市中学校給食の現状と課題、そして全員給食への移行の可能性を探ります。

名古屋市中学校給食の現状:お弁当vsスクールランチ

名古屋市立明豊中学校では、生徒は毎日お弁当かスクールランチかを選択できます。スクールランチは1食320円、3日前までの予約制。食中毒対策のため10℃以下に冷却されており、温かい食事ではありません。

お弁当派の生徒からは「親が作るお弁当が一番美味しい!」という声が聞かれる一方、スクールランチ派からは「ほぼ毎日スクールランチ」という声も。それぞれの好みや家庭の事情によって選択が分かれているようです。

お弁当とスクールランチを選ぶ中学生お弁当とスクールランチを選ぶ中学生

スクールランチの様子スクールランチの様子

近隣の自治体では状況が異なります。長久手市立長久手中学校では全員給食を提供。卒業式前日には、余ったおかずをかけた「牛乳じゃんけん」で盛り上がるなど、給食が学校生活の大切な一部となっている様子が伺えます。

全員給食を求める声と保護者の負担

名古屋市では、中学生の約半数がスクールランチを選択。残りの半数は、毎日お弁当を持参しています。共働き世帯の増加や、食育の観点から、全員給食を求める声が保護者から上がっています。

お弁当を作る保護者お弁当を作る保護者

朝早くから仕事に行く母親は、「毎朝5時に起きてお弁当を作り、自分の準備もする」など、お弁当作りに負担を感じている様子。卒業式を迎えた保護者からは、「全員給食の導入で少しでも負担を減らしてほしい」という切実な声が聞かれました。

専門家の見解:全員給食の意義

跡見学園女子大学の鳫咲子教授(学校給食・子どもの貧困研究)は、「家庭の経済状況が子どものお弁当に反映されることなく、全員が安心して給食を食べられる環境が望ましい」と指摘。全員給食の意義を強調しています。給食は単なる食事提供ではなく、食育や社会性の育成にも繋がる重要な役割を担っているのです。

給食について語る鳫咲子教授給食について語る鳫咲子教授

名古屋市長の考えと今後の展望

広沢一郎市長は、「圧倒的多数が小学校と同じような給食を望むならそうすべき。現状維持を望む声が多ければ継続」との見解を示しています。市民の声を重視し、慎重に検討していく姿勢が伺えます。

給食は子どもたちにとって、学校生活の楽しみの一つ。栄養バランスの取れた温かい食事を、みんなで一緒に食べる喜びは、かけがえのないものです。名古屋市の中学校給食が、子どもたちにとってより良いものとなるよう、今後の動向に注目が集まります。