20代男性の「出世欲」激減!管理職はもはや魅力的ではないのか?

現代社会において、若手社員の待遇改善が進む一方で、20代男性の「出世欲」が低下しているという意外な実態が明らかになっています。パーソル総合研究所の調査結果を基に、その背景や現状、そして企業の未来への影響について深く掘り下げてみましょう。

出世のハードル上昇と管理職の減少

厚生労働省の調査によると、管理職の比率は年々低下傾向にあります。1990年には40代前半の大卒社員の約3人に1人が課長職に就いていましたが、2023年には約7人に1人と、その割合は大幅に減少しています。管理職への道は狭まり、選ばれた社員のみが到達できるポジションとなっています。

2025年の春闘では、労働組合側の要求に対し会社側の満額回答が相次いだ2025年の春闘では、労働組合側の要求に対し会社側の満額回答が相次いだ

さらに、管理職就任のピーク年齢も上昇しており、かつては40代前半だったものが、現在は50代前半へとシフトしています。企業の成長には、将来を担う若手社員のリーダーシップが不可欠ですが、彼らが管理職を敬遠する現状は、企業にとって大きな課題と言えるでしょう。

20代男性の出世意欲低下:その実態

パーソル総合研究所の調査では、20代男性正社員の出世意欲が、2017年から2024年にかけて7.8〜12.2ポイントも低下していることが明らかになりました。これは他の年代と比較しても、際立って大きな減少幅です。一方で、20代女性正社員の出世意欲は上昇傾向にあり、男女間の意識の差が顕著になっています。

既婚・未婚で異なる出世への意識

特に注目すべきは、20代男性正社員の中でも、既婚者と未婚者で出世意欲に大きな差が見られる点です。家庭を持つことで、責任やワークライフバランスへの意識が高まり、出世に伴う負担を敬遠する傾向があると考えられます。 人事コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「長時間労働や転勤の可能性など、管理職の役割には負担が伴うため、結婚を機にキャリアプランを見直す男性が増えている」と指摘しています。

若手優遇の落とし穴?

近年の傾向として、若手社員の待遇改善が進み、初任給の大幅アップなども見られます。これは優秀な人材確保のための重要な施策ですが、一方で、年功序列の崩壊や昇進機会の減少につながり、若手社員の出世意欲を削ぐ要因となっている可能性も否定できません。

企業の未来への影響と対策

20代男性の出世意欲低下は、企業の将来にとって大きなリスクとなります。リーダーシップ不足や組織の活性化の停滞につながり、企業の成長を阻害する可能性も懸念されます。企業は、管理職の魅力向上やワークライフバランスの充実、評価制度の見直しなど、若手社員がキャリアアップを目指せる環境づくりに取り組む必要があります。

まとめ:未来のリーダー育成に向けて

20代男性の出世意欲低下は、社会全体の課題と言えるでしょう。企業は、若手社員の声に耳を傾け、働きがいのある職場環境を整備することで、未来のリーダー育成に繋げていくことが重要です。