韓国経済の先行きに暗雲が立ち込めています。内需の低迷に加え、米国の関税ショックが追い打ちをかけ、韓国銀行は今年の経済成長率見通しを下方修正する見込みです。景気後退への懸念が高まる中、金融緩和への期待も膨らんでいます。
内乱と関税ショックで景気急落
韓国銀行が発表した「経済状況評価」によると、今年の第1四半期の経済成長率は前期比マイナス成長となる可能性があり、年間成長率も2ヶ月前の予想(1.5%)を下回る見通しです。韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は、大規模な山火事や政治の不確実性、そして米国の関税ショックを要因として挙げ、当初の予想よりも景気は悪化すると述べています。
韓国銀行のイ・チャンヨン総裁
特に、米国と中国の貿易摩擦の影響は深刻です。両国は韓国の輸出の約40%を占める主要貿易相手国であり、関税戦争の影響は他国よりも大きく及ぶと懸念されています。金融市場の不安定化も懸念材料の一つです。
成長率見通し下方修正、0%台突入か
海外の投資家も韓国経済の先行きに悲観的な見方を強めており、成長率見通しを次々と下方修正しています。グローバル投資銀行や経済予測機関の予想は1.4%まで低下しており、昨年11月の予想(2.0%)から大きく下方修正されています。イ総裁も、韓国銀行の修正見通しは従来の1.5%よりも大幅に低くなる可能性を示唆しています。
政府は12兆ウォンの追加補正予算を編成することで、今年の成長率を0.1ポイント押し上げる効果があると試算していますが、韓国銀行は当初、より大規模な補正予算の必要性を訴えていました。すでに景気刺激のタイミングを逃してしまった可能性も指摘されています。
利下げ期待高まる、大幅利下げの可能性も
厳しい景気見通しの一方で、韓国銀行は基準金利を現状の2.75%に据え置きました。米中貿易摩擦の先行き不透明感から、様子見の姿勢を維持する判断に至ったとみられます。しかし、金融通貨委員会のメンバー全員が、3ヶ月以内に利下げの可能性を検討すべきとの意見を表明しており、中には0.5ポイントの大幅利下げを主張する委員もいます。
韓国経済のグラフ
市場では、来月の金融通貨委員会で利下げに踏み切る可能性が高いと予想されています。年間の利下げ幅も、市場予想を上回る可能性が指摘されています。イ総裁は、利下げ幅については5月の金融通貨委員会で改めて検討するとしています。
著名な経済アナリストであるキム・ヨンチョル氏は、「韓国経済は厳しい状況に直面している。政府と韓国銀行は協調して、効果的な景気対策を迅速に実施する必要がある」と指摘しています。今後の韓国経済の動向に注目が集まっています。