ウクライナ停戦交渉:プーチン大統領、ゼレンスキー大統領との会談に前向きな姿勢

ウクライナ紛争の終結に向けた動きに新たな展開が見られています。ロシアのプーチン大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領による停戦提案を検討する姿勢を示し、両者会談の可能性にも言及しました。これまで強硬な姿勢を崩さなかったプーチン大統領の突然の方針転換は、国際社会に驚きを与えています。

プーチン大統領、ゼレンスキー大統領の停戦提案を「分析」へ

プーチン大統領は21日、ゼレンスキー大統領が提案した「民間施設へのドローン・ミサイル攻撃30日間停止」について、「全てを分析し、それに基づいて決定を下す」と述べ、検討する意向を示しました。さらに、ロシア国営テレビのインタビューでは、「いかなる平和イニシアチブにも常に肯定的な態度を持っている」と語り、ウクライナ側にも同様の姿勢を求めました。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン大統領がゼレンスキー大統領との会談の可能性に言及したことを確認し、「民間人攻撃の停止を含む、あらゆる問題を議論できる」と説明しました。

プーチン大統領とゼレンスキー大統領の画像プーチン大統領とゼレンスキー大統領の画像

ゼレンスキー大統領、会談への「準備」を表明

ゼレンスキー大統領はプーチン大統領の提案に直接的な回答は避けたものの、会談を受け入れる可能性を示唆しました。同日午後のビデオ演説で、「ウクライナは民間人攻撃の停止という立場を堅持している。ロシアからの明確な回答を期待し、いかなる対話にも準備ができている」と述べました。

米国、終戦交渉への圧力強化か

今回のプーチン大統領の姿勢変化の背景には、米国の圧力があるとの見方が強まっています。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ政権の高官がフランス・パリでウクライナ側に終戦交渉の条件を記した機密文書を伝達したと報じられています。この文書には、ロシア占領下のザポロジエ原子力発電所周辺を中立地帯とし、米国が管理することや、2014年にロシアが併合したクリミア半島の領有権をロシアに正式に譲渡することなどが含まれているとされています。ザポロジエ原発は、トランプ前大統領が買収の意向を示していた場所でもあります。

ウクライナの苦悩と今後の展望

NATO加盟などウクライナ側の要求が受け入れられる可能性は低い中、米国とロシアからの圧力に挟まれたゼレンスキー大統領は難しい判断を迫られています。23日にはロンドンで米国とフランスの代表団と会談し、停戦協定案を協議する予定です。この会談で、米国が提示した終戦交渉の条件やプーチン大統領の会談提案に対するウクライナ側の立場が明らかになるものと見られています。今後の展開が注目されます。