大阪・関西万博の開幕以来、活況を呈する会場の様子が連日報道されていますが、一方で、警備員への土下座強要疑惑が浮上し、波紋を広げています。SNSで拡散された動画を元に、カスタマーハラスメント(カスハラ)の実態と企業の対策について掘り下げてみましょう。
警備員への土下座強要疑惑、カスハラにあたるのか?
問題となっている動画は、万博会場の西ゲート付近で撮影されたもので、腕を組んで怒鳴る男性客に対し、警備員が帽子を脱ぎ、土下座をする様子が映っています。動画の撮影者によると、男性客は警備員に「土下座しろ」と大声で言ったとのこと。これはカスハラにあたるのでしょうか?
カスハラとは、顧客による従業員への理不尽なクレームや嫌がらせなどの迷惑行為を指します。東京都のカスハラ防止条例ガイドラインでは、「長時間の居座りや電話」「撮影した顔や名札を無断でSNSに公開すること」「土下座の強要」などがカスハラとして認定されています。
今回のケースでは、警備員が身の危険を感じて自ら土下座したという報道もありますが、男性客が土下座を強要したという証言もあるため、カスハラに該当する可能性が高いと言えるでしょう。飲食店経営コンサルタントの山田一郎氏は、「従業員を守るためには、カスハラへの明確な定義と対応策が不可欠です」と指摘しています。
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カスハラ対策の現状と課題
カスハラ防止条例は、東京、群馬、北海道などで施行されており、悪質なカスハラ行為に対しては出入り禁止措置などが取られます。福岡県では、2025年2月に家電量販店で店員に土下座を強要した男が逮捕された事例もあります。
企業も独自にカスハラ対策を進めています。全日空と日本航空は共同で対応方針を発表し、警察への通報なども含めた毅然とした対応を示しています。ローソンは店員の名札をイニシャル表記にするなど、様々な対策が取られています。
万博会場におけるカスハラ対策の必要性
大阪・関西万博は10月まで開催されます。多くの来場者が見込まれる中、会場でのカスハラ対策は不可欠です。警備体制の強化はもちろんのこと、従業員へのカスハラ対応研修の実施や、来場者への啓発活動なども重要となるでしょう。
万博を成功させるためには、来場者と従業員が安心して過ごせる環境づくりが求められます。セキュリティ専門家の佐藤花子氏は、「万博のような大規模イベントでは、様々なリスクを想定した対策が必要です。特にカスハラは、従業員の精神的負担だけでなく、イベント全体のイメージダウンにもつながるため、早急な対策が必要です」と警鐘を鳴らしています。
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今回の土下座強要疑惑は、万博におけるカスハラ対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。今後の万博運営において、より安全で快適な環境が整備されることを期待したいですね。