秋田県の深刻な人口減少問題:Uターンと「故郷愛」を呼び起こす新戦略

日本で最も深刻な人口減少に直面している秋田県では、人口減少に伴い経済も急速に縮小しています。県内の駅に降り立てば、その実情は明らかです。多くの商店街はシャッター通りと化し、休日であっても人通りはまばら。このような光景が県内各地で見られるようになりました。豊かな自然に恵まれ、美味しい米の産地であり、学力テストの成績は日本トップレベルという誇れる要素は数多くあるにもかかわらず、人口減少に歯止めがかかる気配はありません。県は移住者の受け入れを模索していますが、縁のない人に移住を促すことのハードルの高さも指摘されています。

人口減少が進む秋田県の駅前で、多くの商店がシャッターを閉じ、人通りが少ない風景人口減少が進む秋田県の駅前で、多くの商店がシャッターを閉じ、人通りが少ない風景

秋田県湯沢市出身で、県出身者コミュニティ「秋田県人会あきたいざたん」を運営する代表の高橋純一氏によると、長引くコロナ禍が秋田県の人口減少に大きな影を落としているといいます。県外に住む秋田県出身者が、故郷に戻りにくくなったのがその一因です。人口減少は秋田県だけでなく、地方全体の共通課題。お盆の帰省シーズンを前に、これ以上の大幅な人口減少を食い止めるために、どのような対策を講じるべきか、改めて考える必要があります。

秋田県が直面する人口減少の現実と経済的影響

秋田県は、日本全国で最も人口減少が深刻な地域の一つとして知られています。その影響は、県内の経済活動の停滞に直結し、特に地方の商店街では「シャッター街」と呼ばれる現象が顕著です。活気が失われた街並みは、人手不足や消費の低迷という悪循環を生み出しています。一方で、秋田県は豊かな自然、高品質な農産物、そして全国トップクラスの学力水準といった魅力的な側面も持ち合わせています。しかし、これらの利点だけでは、県外からの新規移住者を積極的に呼び込むには至らず、人口流出に歯止めがかからないのが現状です。

移住のハードルを越え、Uターンを促進する新たな視点

県外出身者への移住呼びかけは、現実的に高いハードルを伴います。秋田県を一度離れ、都市生活の利便性を知った人々が、積極的にUターンを選ぶ理由は見出しにくいのが実情です。現在、秋田へ戻る人々の多くは、家族の介護や家業の継承といった、ある意味で「消極的な」理由が多いと高橋氏は指摘します。秋田が好きだから、住みやすそうだから、という能動的な理由での移住は稀です。しかし、高橋氏は「秋田を離れてしまった人を呼び戻すことを諦めないこと」が重要だと強調します。日本各地に点在する秋田県出身者の中には、何かのきっかけがあれば故郷に戻りたいと考える「故郷愛」を持つ人々が多く存在します。こうした層に対して、秋田からの情報を届け、故郷への関心を再び高めるための働きかけを見直す必要があります。

秋田出身者コミュニティと飲食店の連携が生む可能性

具体的なUターン促進策として、高橋氏は秋田県出身者が経営する県外の飲食店との連携を提案しています。東京だけでも100店舗以上確認されている秋田出身者経営の飲食店は、単なる食事処以上の役割を果たしています。そこには秋田料理のファンだけでなく、多くの秋田県出身者や、両親や祖父母が秋田出身で毎年帰省しているという縁のある人々が集います。これらの飲食店は、故郷の魅力や最新情報を発信する最適な拠点となり得ます。縁もゆかりもない人々にアプローチするのではなく、既に秋田との接点を持つ人々にターゲットを絞り、コミュニケーションの機会を増やすことで、故郷への関心を再度引き出し、将来的にはUターンへと繋がる可能性を高めることができます。故郷との繋がりを再構築し、「故郷愛」を育むことが、秋田の人口減少問題に対する新たな解決の鍵となるでしょう。


参考文献