アメリカの国防長官、ピート・ヘグセス氏が、民間通信アプリ「Signal」のグループチャットで軍事機密を共有していた疑惑が浮上し、波紋を広げています。今回は、イエメンでの空爆作戦の詳細が議題の中心でした。果たして、真相は?そして、この一件はアメリカの安全保障にどのような影響を与えるのでしょうか?
Signalチャット流出事件、再び
つい先日、マイク・ウォルツ大統領補佐官がSignalのグループチャットにジャーナリストを誤って追加し、イエメンでの軍事作戦計画が漏洩したという事件がありました。記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。そして今回、二度目の流出疑惑が浮上しました。ヘグセス国防長官が、妻や弟、個人弁護士を含むグループチャットで、イエメン空爆作戦の詳細を共有していたとCBSニュースが報じたのです。
ピート・ヘグセス米国務長官と妻ジェニファー・ロシェ氏
ホワイトハウスは、軍事計画がSignalで共有されていたという報道を軽視しようとしていますが、内容については否定していません。トランプ大統領はヘグセス氏への「大きな信頼」を表明し、メディアの報道を「不満を持つ従業員の仕業」と一蹴しました。しかし、専門家の中には、Signalのような民間アプリで軍事機密を扱うことの危険性を指摘する声も上がっています。
ヘグセス氏の釈明とメディアの追及
ヘグセス氏は、メディアを「でっちあげ屋」と非難し、報道を否定しました。ホワイトハウスも、機密情報の共有はなかったと声明を発表しています。しかし、ニューヨーク・タイムズによると、ヘグセス氏が作成した「国防|チームハドル」というグループチャットで、イエメンのフーシ派拠点への軍事作戦の詳細が共有されていたとのことです。
セキュリティ専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「Signalはエンドツーエンドで暗号化されているため、高いセキュリティを誇りますが、それでも情報漏洩のリスクはゼロではありません。特に、政府高官が軍事機密を扱う場合は、より厳格なセキュリティ対策が必要です」と指摘しています。
解任された高官からのリークか?
ヘグセス氏は、今回の報道は自分が解任した高官によるリークだと主張しています。先週、ヘグセス氏は「無許可の情報公開」を理由に3人の高官を解任しました。解任された高官の一人、ジョン・ウルリオット氏は、国防総省は「完全な混乱」に陥っていると反論し、ヘグセス氏のリーダーシップを批判しています。
ヘグセス氏
国防総省の現報道官、ショーン・パーネル氏は、「Signal上のどのチャットにも機密情報はなかった」とホワイトハウスの主張を繰り返しています。しかし、今回の事件は、アメリカの安全保障体制の脆弱性を露呈したと言えるでしょう。
イエメン情勢とフーシ派の活動
フーシ派は、イランの支援を受け、イエメンで活動する武装組織です。2023年11月以降、紅海やアデン湾で商業船舶への攻撃を繰り返しており、国際社会の懸念が高まっています。アメリカは、フーシ派の活動を抑制するため、イエメンへの空爆を継続しています。
フーシ派による攻撃の背景
フーシ派は、イスラエルとハマスの戦争を受け、パレスチナへの連帯を示すため、商業船舶への攻撃を強化したと主張しています。しかし、その行動は国際貿易を脅かすものであり、非難の声が上がっています。
この事件の真相究明は、アメリカの安全保障にとって極めて重要です。今後の展開に注目が集まります。