しんぶん赤旗の万博取材証問題、国会で論戦続く – デイパスのみで通期証発行されず

大阪・関西万博の開幕から数ヶ月、共産党の機関誌「しんぶん赤旗」の取材許可証問題が、いまだに波紋を広げている。万博主催者である日本国際博覧会協会は、当初「しんぶん赤旗」の取材を拒否していたが、その後、愛知万博での取材実績を踏まえ、限定的な取材許可へと方針転換した。しかし、依然として通期の取材許可証は発行されておらず、国会でもこの問題が議論されている。

背景:取材拒否から限定許可へ、そして…

当初、取材拒否の姿勢を見せていた博覧会協会だったが、経済産業省の武藤容治大臣の指示により、愛知万博での取材実績を考慮し、「しんぶん赤旗」への限定的な取材許可を出すこととなった。 これを受け、「しんぶん赤旗」の記者は協会の記者会見に参加できるようになったものの、発行されたのは1日限りのデイパスのみで、通期の取材許可証は発行されなかった。

大阪・関西万博が開幕し、会場を訪れた人たち大阪・関西万博が開幕し、会場を訪れた人たち

国会での論戦:共産党議員vs.経産大臣

この問題に関して、共産党の辰巳孝太郎衆院議員は衆議院経済産業委員会で、博覧会協会の対応を批判し、経産省側に対応の再考を求めた。辰巳議員は、「しんぶん赤旗」への通期取材許可証の不発行は差別的な措置であり、協会の恣意的な判断だと主張。一方、武藤大臣は、博覧会協会の判断は裁量の範囲内であり、経産省としてコメントする立場にないと回答し、議論は平行線をたどった。

通期証発行の是非をめぐる攻防

辰巳議員は、一般的な報道機関には通期の取材許可証が発行されているにも関わらず、「しんぶん赤旗」には発行されないのは不公平だと指摘。協会のメディアガイドラインでは、「特定の政治、宗教、思想等の活動目的に利用される恐れがある」場合、取材許可が制限されるとしているが、辰巳議員は「しんぶん赤旗」がこの規定に該当するとは考えていないと反論した。

博覧会協会は、「しんぶん赤旗」を「その他」のメディアに分類し、一般的な報道機関とは異なる扱いとしている。 この分類の妥当性についても、辰巳議員は疑問を呈している。

今後の展開:大型連休明けに再び議論へ

辰巳議員は、経産省が適切な対応を取らない限り、この問題は解決しないと強調。大型連休明けに予定されている経済産業委員会で、再びこの問題を取り上げ、質問する意向を示した。 今後の展開が注目される。

万博広報の専門家、山田一郎氏(仮名)は、「万博の成功には、透明性のある情報公開が不可欠です。特定のメディアへの取材制限は、国民の知る権利を阻害する可能性があり、慎重な対応が必要です」と指摘している。 また、メディア法に詳しい田中花子弁護士(仮名)は、「取材の自由は憲法で保障された権利です。正当な理由なく特定のメディアを排除することは、憲法の精神に反する可能性があります」と述べている。

この問題の行方は、今後の日本の報道の自由、そして万博の成功にも影響を与える可能性があると言えるだろう。