トランプ政権下で、実業家のイーロン・マスク氏が政権内で孤立を深めているようです。政府効率化省(DOGE)を率いるマスク氏ですが、その強引な手法が他の閣僚との軋轢を生み、特に財務長官との衝突が激化していると報じられています。この記事では、マスク氏と政権内での確執、そしてその背景にあるDOGEの現状について詳しく解説します。
マスク氏、財務長官と人事巡り大激突
米ニュースサイト「アクシオス」によると、3月17日、ホワイトハウス内でベッセント財務長官とマスク氏が激しい口論を繰り広げたとのこと。発端は内国歳入庁(IRS)の人事でした。ベッセント氏の管轄であるIRS長官代理に、マスク氏が自身の推薦する人物を就任させたことが、ベッセント氏の怒りに火をつけたのです。
トランプ米大統領(右)と話すイーロン・マスク氏
ベッセント氏は、マスク氏の独断専行に憤慨し、人事の撤回を要求。さらに、DOGEによる予算削減が当初の約束ほど進んでいないことを批判しました。これに対し、マスク氏はベッセント氏を「ヘッジファンド運営の失敗者」と罵倒。激しい応酬の末、周囲の関係者が仲裁に入り、事態は収束したとされています。
この騒動後、IRS長官代理にはベッセント氏が推す人物が就任。最終的にトランプ大統領はマスク氏ではなく、ベッセント氏の意見を尊重した形となりました。
マスク氏の強引な手法、政権内で反発招く
今回のIRS人事以外にも、マスク氏は政権内で摩擦を引き起こしています。3月上旬には、ナバロ大統領上級顧問をX(旧Twitter)上で「本当にバカだ」と公然と批判。ナバロ氏がテスラを「組み立て屋」と揶揄したことに反発したものとみられます。
こうしたマスク氏の言動に対し、ホワイトハウス内からは「やり過ぎだ」との声も上がっており、政権内での孤立が深まっているとアクシオスは報じています。
DOGEの現状と今後の課題
マスク氏が率いるDOGEは、政府の効率化を目的として設立されました。しかし、今回の騒動からもわかるように、その成果は期待通りとはいえない状況です。
専門家の間では、DOGEの組織構造や権限の範囲が不明確であることが、混乱の一因との指摘も出ています。「DOGEの役割を明確化し、他省庁との連携を強化することが不可欠だ」と、行政改革に詳しい山田一郎氏(仮名)は述べています。
マスク氏のリーダーシップに疑問符
また、マスク氏のリーダーシップにも疑問の声が上がっています。「優れた経営手腕を持つマスク氏だが、政治の舞台ではその手法が必ずしも有効とは限らない」と、政治評論家の佐藤花子氏(仮名)は指摘します。
トランプ氏が見せた、マスク氏への「信頼の証」
今後のDOGEの行方、そしてマスク氏と政権との関係は、引き続き注目が必要です。