子育ては、喜びと同時に大きな責任を伴う人生の大きな転換期です。特に、子供に障害がある場合、その困難は計り知れません。この記事では、実父からの性的虐待という壮絶な過去を持つ滝川沙織さん(仮名)が、視覚障害を持つ二人の子供を育てながら直面した葛藤と、虐待の連鎖を断ち切ろうとする苦悩に迫ります。ノンフィクション『母と娘。それでも生きることにした』(集英社インターナショナル)から一部抜粋し、彼女の心の叫びに耳を傾けてみましょう。
育てにくい娘、可愛い息子、そして…
3歳の夢ちゃん、そして生後間もない海くん。沙織さんは二人の子育てに奮闘していました。しかし、夢ちゃんは幼稚園を極端に嫌がり、癇癪を起こすと何時間も泣き叫ぶなど、育てにくい子供でした。一方、海くんは夜泣きも少なく、沙織さんは心から可愛いと思える存在でした。
言うことを聞かない娘への苛立ち
沙織さんは、慣れない育児と睡眠不足に悩まされていました。夜中の授乳で疲弊しているにもかかわらず、幼稚園に行かない夢ちゃんは沙織さんの睡眠を妨害し続けます。「ねえねえ、遊ぼう」と繰り返し起こしに来る夢ちゃんに、沙織さんの苛立ちは募るばかりでした。
3歳の娘と0歳の息子を持つ母親の葛藤
止められない暴力の連鎖
ついに沙織さんの怒りは爆発。「何、この子! あたしを苦しませるために、生まれてきたの?」という思いが頭をよぎり、夢ちゃんへの暴力が始まってしまいます。一度手が出てしまうと、怒りの衝動は止まらず、殴る蹴るの虐待へと発展していくのでした。
過去のトラウマと向き合いながら
沙織さん自身も幼少期に実父から性的虐待を受けており、深い心の傷を負っていました。育児のストレスと過去のトラウマが重なり、彼女は追い詰められていきます。「子育て支援センター」や「児童相談所」といった公的機関の存在を知りながらも、助けを求めることを躊躇していた沙織さん。一体なぜ彼女は一人で抱え込んでしまったのでしょうか?そして、彼女はこの苦境をどのように乗り越えていくのでしょうか?
専門家の見解
児童心理学者の山田先生(仮名)は、「虐待の連鎖は、親自身が適切な子育てのモデルを経験していないことが大きな要因です。沙織さんのように、過去に虐待を受けた経験を持つ親は、子供への接し方が分からず、虐待という負の連鎖を繰り返してしまう可能性があります。早期の介入と適切なサポートが不可欠です。」と指摘しています。
続く苦悩、そして希望へ
虐待の連鎖を断ち切り、子供たちと幸せな未来を築きたいと願う沙織さん。しかし、現実は厳しく、彼女の苦悩は続きます。次回、沙織さんが虐待の連鎖から抜け出すために、どのように葛藤し、そしてどのような選択をするのか、さらに深く掘り下げていきます。