「人間として見てもらえない」死を考えるほどの絶望の先に…全身が動かなくなる難病「脊髄性筋萎縮症」を患う青年が描く未来


【画像】全身が動かなくなる難病を患いながらも都内で一人暮らしし、起業も検討している青木さん

地域で暮らす重度障がい者のリアル

東京都内のアパートで一人暮らしをする青木さんの休日は、多くの若者と変わらない。しかし外出までのルーティンはかなり異なる。

「朝起きたらまず、ヘルパーさんに人工呼吸器を外してもらいます。その後は朝食を摂ったり入浴したり。入浴後は体力を消耗するので少し休憩します。自分で寝返りがうてないので、夜もヘルパーさんに待機してもらいます。1Kのアパートですから、すぐ隣にいるような感覚です」

青木さんが患う脊髄性筋萎縮症は、全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病だ。現在動くのは指先などわずかな部位だけで、食事にも排泄にも介助を要する。訪問介護の契約先は13社に及び、青木さん自身がすべてを把握・管理している。

「一人暮らしは初めてなので怖かったですけど、意外と何とかなりました。親元から自立できて、人より劣っていると感じていた部分がなくなったような気がして嬉しかったですね」

24時間の訪問介護を実現するには20人以上のヘルパーが必要で、行政手続きも含めて準備に3年以上を要した。車椅子による室内の破損や孤独死を心配され、不動産業者には断られ続けた。しかし青木さんは諦めなかった。

「昔から『元気な子と同じことをしたい』という思いがずっとあり、施設はどうしても嫌だった。家にたくさんの他人が出入りする訪問介護は、人間関係もいろいろですが、実家で暮らす以上にのびのび生活しています」

この日も元気に外出してきたように見える青木さんだが、苦痛や不快感が絶えることはない。体重30kgで皮下脂肪がほとんどないため寒さがこたえる。同じ姿勢で車椅子に固定されている状態で、身じろぎができないことから身体も痛む。呼吸のしづらさを感じる日もあるという。



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