【ブリュッセル=秋山洋成】欧州連合(EU)は27日、ドミニカ共和国など3か国と共同で、ニホンウナギを含む世界のウナギ全種を野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の対象に加えるよう提案した。11~12月に開かれる条約の締約国会議で提案が認められれば、国際取引の管理が強化され、ウナギが食卓から遠のく恐れがある。
提案では、世界のウナギ全種をワシントン条約の「付属書2」に掲載するよう求めている。付属書2に掲載されると、輸出国に科学的な見地に基づいて許可書の発行が義務付けられる。稚魚や成魚のほか、かば焼きなど加工品も対象となる。2027年6月から規制の導入を求めている。
世界のウナギ全19種類のうち、ヨーロッパウナギは09年に付属書2の対象となっている。EUは税関でヨーロッパウナギと他種の見分けが難しく、違法取引が行われているとして全19種を対象にすることが必要だと主張している。
ただ、規制対象となれば、輸出が難しくなり、ウナギの取引価格が上昇する可能性が高い。密漁や密輸が増える恐れもあり、日本政府は反対している。
ワシントン条約の締約国会議では3分の2以上の賛成で提案が採択される。今後、賛成国と反対国の間で駆け引きが激化しそうだ。