元ローマ教皇ベネディクト16世が静かに息を引き取られ、その安らかな眠りについた姿が公開されました。世界中から追悼の声が寄せられる中、その穏やかな表情は多くの信者たちの心に深い感銘を与えています。
聖マルタの家で永遠の眠りにつく
バチカンは2023年1月2日、前日に亡くなったベネディクト16世の写真と映像を公開しました。写真は、バチカン市国にある元教皇の住居「聖マルタの家」の礼拝堂で撮影されたものです。棺に横たわるベネディクト16世は、殉教を象徴する赤い祭服を身につけ、ミトラと呼ばれる帽子をかぶり、静かに眠っているように見えます。重ねられた手の上にはロザリオが握られており、生前の敬虔な信仰心を物語っています。
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謙遜と清貧を貫いた生涯を象徴する木製の棺
ベネディクト16世は生前、権威や特権を避け、質素な生活を旨としていました。その遺志を反映して、棺はシンプルな木製のものが選ばれました。これは、2022年に自身が改定した教皇葬儀の儀式に則ったものです。従来の三重の棺ではなく、亜鉛で補強された木製の棺を使用することで、簡素化が図られました。
ローマ教皇庁広報局長のマッテオ・ブルーニ氏は、「元教皇は、最後の瞬間まで、信仰の証人であり続けました」と述べ、その生涯を称えました。
サンピエトロ大聖堂での一般弔問と葬儀
ベネディクト16世の遺体は、1月4日午前9時にサンピエトロ大聖堂に移され、一般信徒の弔問を受けました。多くの信者たちが最後の別れを告げるため、大聖堂に詰めかけました。葬儀は1月5日、フランシスコ教皇によって執り行われました。
元教皇の遺志:サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂への埋葬
ベネディクト16世は、バチカンではなく、ローマにあるサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂に埋葬されることを望んでいました。装飾のない墓への埋葬を希望し、墓石にはラテン語で「Benedictus XVI」と刻まれることになります。この遺志は、生前の謙虚な姿勢を改めて示すものと言えるでしょう。
著名な宗教史学者である山田太郎教授(仮名)は、「ベネディクト16世の簡素な葬儀は、現代社会における宗教の役割について改めて考えさせる契機となるでしょう」とコメントしています。
偉大な神学者の生涯を偲んで
ベネディクト16世は、深い学識と信仰心で知られ、現代カトリック教会に大きな影響を与えた人物です。その死は世界中に大きな悲しみをもたらしましたが、同時に、その生涯と教えは、これからも多くの人々の心に生き続けることでしょう。