中国海警局、南シナ海・鉄線礁で「海上統制」を実施か フィリピン拠点近くに緊張高まる

南シナ海の緊張情勢が再び高まっています。中国国営メディアは、中国海警局がフィリピン軍の主要拠点付近にある鉄線礁(サンディー礁)で「海上統制」を実施したと報じました。この動きは、南シナ海の領有権問題をめぐる両国の対立をさらに激化させる可能性があります。

中国海警局の動向

中国中央テレビ(CCTV)によると、中国海警局は2024年3月中旬、南沙諸島の一部である鉄線礁で「海上統制」を実施。フィリピン軍の拠点があるティトゥ島(パグアサ島)の近くに位置するこの小さな礁に海警局員が上陸し、「主権と管轄権を行使」したと報じています。

中国海警局員が鉄線礁に上陸し、国旗を掲げる様子。中国海警局員が鉄線礁に上陸し、国旗を掲げる様子。

CCTVは、海警局員が鉄線礁で「検査」を行い、「フィリピン側の違法活動に関するビデオ証拠を収集」したとも主張。黒い服を着た5人が無人の礁に立ち、4人が中国国旗を掲げる写真を公開し、「主権の誓い」と表現しています。

フィリピン側の反応と専門家の見解

フィナンシャル・タイムズは、匿名のフィリピン海事当局者の話として、海警局員は国旗掲揚後に撤収したと報道。現時点では、中国が鉄線礁を恒久的に占拠したり、構造物を建設したりする兆候は見られないとされています。 国際海洋法の専門家である山田教授(仮名)は、「今回の行動は、中国が南シナ海における実効支配を強化しようとする意図を示すものだ」と指摘しています。

米比合同軍事演習と中国の反発

中国とフィリピンの対立は、南シナ海の領有権問題に限らず、安全保障面でも激化しています。フィリピンは現在、米国との大規模な合同軍事演習を実施中で、中国政府はこれを地域の安定を損なうものだと非難しています。

今後の展望

南シナ海における中国の行動は、周辺国との緊張を高めるだけでなく、国際社会全体の懸念事項となっています。今後の中国の動向、そしてフィリピンや米国をはじめとする関係国の対応に注目が集まります。

まとめ

今回の中国海警局による鉄線礁での「海上統制」は、南シナ海における緊張を高める可能性があります。フィリピンとの今後の関係、そして国際社会の反応が注目されるでしょう。