中国軍ナンバー2、何衛東氏粛清か?姿を消し波紋広がる

中国人民解放軍の中央軍事委員会副主席、何衛東氏の動向に注目が集まっている。3月11日の全国人民代表大会(全人代)閉幕後、公の場から姿を消し、粛清されたのではないかとの憶測が飛び交っている。最高指導部である習近平国家主席の側近とされる何氏の不在は、中国政界に波紋を広げている。

謎に包まれた動向

全人代閉幕後、何氏は重要な政治行事を欠席し続けている。3月14日の反国家分裂法20周年座談会、4月2日の植樹イベント、そして4月8日の習近平主席主催の中央周辺工作会議にも姿を見せなかった。政治局員で欠席したのは何氏のみであり、その異例とも言える不在は様々な憶測を呼んでいる。

altalt中国国防省の呉謙報道官。何衛東氏の粛清説について「知っていることはない」と回答。

3月中旬頃からソーシャルメディアで囁かれ始めた何氏の粛清説。台湾侵攻作戦の指揮や病気療養といった可能性も考えられたが、1ヶ月以上も動静が伝えられない状況が続いている。

欧米メディアの報道と中国政府の反応

英フィナンシャル・タイムズは4月11日、消息筋の話として、何氏が数週間前に軍事委副主席を解任され、汚職の疑いで調査を受けていると報じた。米ワシントン・タイムズも3月25日、米国防総省高官の話として、何氏が粛清されたと伝えている。

中国政府は公式発表を控えているものの、中国国防省の呉謙報道官は3月27日、何氏の粛清説に関する記者の質問に対し、「知っていることはない」と回答。昨年11月、董軍国防相の汚職疑惑が報じられた際には、「完全なねつ造であり中傷だ」と強く否定した何氏とは対照的な反応を示した。この曖昧な回答は、粛清説の信憑性を高める結果となっている。

習近平主席への影響は?

何氏は、台湾侵攻作戦を担当する東部戦区司令員を歴任し、習近平主席の側近として知られていた。もし粛清が事実であれば、習主席の権力基盤に大きな影響を与える可能性がある。

altalt2019年、習近平主席から上将昇進の辞令を受け取る何衛東氏(当時、東部戦区司令員)。

専門家の間では、腐敗問題や軍内での派閥形成などが粛清の原因として挙げられている。李尚福前国防相、秦剛前外相、苗華軍事委員など、習近平主席が抜擢した側近の相次ぐ失脚は、習主席自身への政治的打撃となる可能性も指摘されている。著名な中国政治アナリストである張杰氏(仮名)は、「何氏の失脚は、習近平体制における権力闘争の激化を示唆している可能性がある」と分析している。

今後の中国政界の行方

何氏の動向は、今後の中国政界の行方を占う上でも重要な意味を持つ。中国共産党内部の権力構造、そして中国の軍事戦略にどのような変化をもたらすのか、引き続き注視していく必要がある。