高水温で養殖魚「緊急放流」 韓国麗水市、気候変動への対策急務

猛暑が続く韓国全羅南道麗水市では、養殖魚の大量死を防ぐため、高水温対策として大規模な「緊急放流」が実施されています。これは気候変動による海洋環境の変化に先制的に対応する重要な措置です。

猛暑と高水温:麗水市が養殖魚を緊急放流

全羅南道麗水市(チョルラナムド・ヨスシ)の養殖場では、水温が27.2度に達するなど異常な高水温が続いています。これを受け、漁民は養殖していたクロソイなどの魚類を海へ緊急放流しました。麗水市は、華井面(ファジョンミョン)と突山邑(トルサンウプ)の海域で、すでにイシモチ42万匹を放流。さらに30日には華井面海域に16万匹を追加放流し、突山邑にも48万匹を放流する計画です。これにより、高水温による大量死を防ぎ、麗水海域の水産資源の回復を目指します。

全羅南道麗水市の養殖場で記録された高水温27.2度を示す水温計全羅南道麗水市の養殖場で記録された高水温27.2度を示す水温計

政府・地方自治体の連携と先制的対応

麗水市のチョン・ギミョン市長は、「気候危機による海洋環境変化に先制的な対応が何よりも重要」と述べ、漁業者被害の最小化に努める姿勢を示しました。これに先立ち、李在明(イ・ジェミョン)大統領も10日の会議で、「水産生物の安全確保のために先制的かつ積極的に対応せよ」と指示。国を挙げた高水温対策への意識の高さが伺えます。

海洋水産部の支援と今後の展望

大統領の指示を受け、海洋水産部は高水温被害が懸念される現場を視察し、緊急放流を積極的に推奨しています。海洋水産部のホン・レヒョン水産政策室長は、「緊急放流は養殖魚の生存率を高める効率的な方法」と説明し、今後も継続的な放流促進と早期出荷などの支援を続ける方針です。この取り組みは、気候変動の影響が顕在化する中で、持続可能な水産業の未来を築くための重要な一歩となります。

今回の緊急放流は、猛暑と高水温が引き起こす水産業への深刻な影響に対し、韓国政府と麗水市が連携して取り組む先制的な対策です。今後の気候変動への適応と水産業の安定化に向け、こうした具体的な対応策の継続と強化が不可欠です。


参考文献