ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、ロシア軍の兵器不足は深刻さを増しています。もはや戦車や装甲車といった軍用車両だけでなく、民生車両まで動員される異常事態となっています。今回は、戦場で破壊されたスクールバスの事例を通して、ロシア軍の窮状を紐解いていきます。
スクールバスが戦場へ:その背景にあるロシア軍の苦境
ウクライナ東部のドネツク州で、驚くべき光景が目撃されました。なんと、本来子供たちの通学に使われるはずの黄色いスクールバスが、戦場で炎上していたのです。この衝撃的な事実は、ロシア軍の車両不足を如実に物語っています。軍事アナリストのヤクブ・ヤノフスキー氏(仮名)は、「民生車両は徒歩よりはましですが、防護も火力支援も期待できません。バスを使った突撃は損害が大きく、失敗する可能性が高いでしょう」と指摘しています。
ウクライナで破壊されたスクールバス
1万3000両の損失:ロシア軍を蝕む兵器不足
開戦以来、ロシア軍は1万3000両近い装甲戦闘車両を失ったとされています。これは、多くの国の軍隊が保有する車両総数を上回る数であり、ロシアの兵器生産能力をはるかに超えています。国際的な制裁の影響もあり、ロシアの兵器生産は年間1100両程度にとどまっているとの見方もあります。
民間車両の軍事転用:自転車から機関車まで
深刻な車両不足に直面するロシア軍は、あらゆる手段で車両を確保しようと躍起になっています。ATV、ベラルーシ製のオートバイ、ラーダのコンパクトカー、ソ連時代のバン「ブハンカ」、GAZ-69ライトトラック、さらには機関車まで、ありとあらゆる車両が戦場に投入されています。中には、スクーターレンタル会社の電動スクーターまで動員されているという報告もあります。
ドローン攻撃の標的に:防護されていないスクールバスの悲劇
今回破壊されたスクールバスも、こうした民間車両の一つでした。ドローン対策のケージすら装備されていなかったこのバスは、ウクライナ軍のFPV自爆ドローンの攻撃を受け、炎上しました。
ロシア軍が使用する多様な民間車両
長期化する戦争:ロシア軍の苦境は深まるばかり
スクールバスの破壊は、ロシア軍の車両不足が極限に達していることを示す象徴的な出来事です。長期化する戦争の中で、ロシア軍の苦境はさらに深まることが予想されます。今後の戦況に、より一層の注目が集まります。