マクドナルドで働く81歳の枡川節子さんの笑顔が、新しい時代の働き方を象徴しています。人生100年時代と言われる現代、高齢者雇用は社会の重要な課題となっていますが、同時にシニア世代の活躍の場も広がりつつあります。この記事では、マクドナルドで働く枡川さんの事例を通して、高齢者雇用の現状と未来、そしてシニア世代の生きがいについて探っていきます。
高齢者雇用の最前線：マクドナルドでの挑戦
alt(マクドナルドで働く81歳の枡川さん。生き生きとした表情が印象的です。)
2年前、夫を亡くした枡川さんは、寂しさを紛らわすためにマクドナルドで働き始めました。若者や外国人との交流は、彼女の心に活力を与え、週4日、各日3～4時間の勤務をこなしています。「お客さんと接するのが楽しい。今が青春」と語る枡川さんの笑顔は、年齢を重ねてもなお輝きを失っていません。
日本マクドナルドでは、65歳以上の店員が2025年2月時点で8699人に上り、10年前と比べて4倍に増加しました。これは全体の4%を占めており、最高齢は富山県の96歳です。人事本部の伊東潜さんは、「カウンター業務や配膳などを分業し、誰もが働きやすい環境を整えている」と語っています。企業努力によって、シニア世代が活躍できる場が着実に広がっているのです。
高齢者雇用の現状と未来：人手不足と社会保障の課題
総務省のデータによると、2024年時点で65歳以上の就業者は930万人に達し、過去最多を更新しました。就業率は25.7%、高齢者の4人に1人が働いている計算になります。就業者全体で見ると、およそ7人に1人が高齢者です。
この背景には、深刻化する人手不足があります。日本銀行の2023年3月の短観では、従業員が「過剰」の企業から「不足」の企業を引いた指数はマイナス37となり、1991年のバブル期以来の強い不足感を示しています。
このような状況を受け、2021年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務としました。これにより、定年引き上げや定年後の再雇用の上限年齢見直しなど、企業の対応も変化しつつあります。
高齢化社会における就労支援の重要性
高齢化が進む日本では、社会保障の維持と経済の活性化のために、高齢者の就労支援はますます重要になっています。企業は、シニア世代の経験や知識を活かせるような職場環境づくりに取り組む必要があります。また、政府も就労支援制度の拡充や、年齢に関係なく能力を発揮できる社会づくりを推進していくことが求められています。
まとめ：人生100年時代の新しい働き方
枡川さんのように、年齢を重ねても意欲的に働くシニア世代は、社会の活力源となっています。高齢者雇用は、人手不足の解消だけでなく、シニア世代の生きがい創出にもつながる重要な取り組みです。人生100年時代において、誰もが年齢に関係なく活躍できる社会の実現に向けて、企業、政府、そして私たち一人ひとりが意識を変えていく必要があるのではないでしょうか。
