アメリカのトランプ政権が2026年度予算教書を公開し、NASAの予算削減と月上空の中継基地「ゲートウェイ」の廃止を提案しました。この政策転換は、日本の宇宙開発にも大きな影響を与える可能性があります。
ゲートウェイ廃止とアルテミス計画への影響
これまで、アメリカ主導の有人月面探査計画「アルテミス計画」において、月上空に建設予定だった中継基地「ゲートウェイ」は、月面探査における重要な拠点としての役割が期待されていました。しかし、今回の予算教書では、ゲートウェイの建設を廃止し、その予算を他のプロジェクトに振り分けることが提案されています。この決定は、アルテミス計画全体の進行に影響を与える可能性があり、今後の計画の見直しが必要となるでしょう。
ゲートウェイ想像図
SLSとオリオンの民間移行:コスト削減と新たな可能性
月へ向かうための大型ロケット「SLS」と宇宙船「オリオン」についても、2027年以降は運用を終了し、民間サービスに移行することが提案されています。SLSとオリオンは開発に莫大な費用がかかっており、計画にも遅れが生じていることから、コスト削減と効率化を図る狙いがあると見られます。民間企業の参入により、宇宙開発の競争が促進され、新たな技術革新が生まれる可能性も期待されます。
火星探査への注力:中国との競争と人類の未来
予算教書では、中国に先駆けて月面着陸を実現すること、そしてイーロン・マスク氏が提唱する人類初の火星着陸に向けて予算を集中させることが明記されています。中国の宇宙開発の進展は目覚ましく、アメリカとしては宇宙開発における主導権を維持するために、中国との競争に打ち勝つ必要性を感じていると考えられます。また、火星探査は人類の未来にとって重要な課題であり、その実現に向けて資源を集中させる意向が示されています。
火星探査想像図
日本の宇宙開発への影響:新たな戦略の必要性
アルテミス計画では、日本人宇宙飛行士2人が月面探査に参加する予定でしたが、ゲートウェイの廃止や計画変更により、日本の宇宙開発にも影響が出ることが懸念されます。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、アメリカとの協力関係を維持しつつ、新たな戦略を策定する必要に迫られるでしょう。「宇宙開発評論家 星野宇宙氏」は、「今回のアメリカの政策転換は、日本にとって大きな試練となるでしょう。しかし、これを機に、独自の宇宙開発戦略を強化し、国際的な競争力を高めるチャンスと捉えるべきです。」と述べています。
まとめ:宇宙開発の新時代への幕開け
アメリカの宇宙政策の転換は、宇宙開発の新時代への幕開けを象徴する出来事と言えるでしょう。ゲートウェイ廃止や火星探査への注力は、宇宙開発における新たな可能性を切り開く一方で、日本を含む国際的な協力体制にも変化をもたらす可能性があります。今後の動向に注目が集まります。