北朝鮮の朝鮮中央通信は4日、金正恩(キムジョンウン)総書記らが「重要戦車工場」を視察した写真を公開した。写真を分析した元陸上自衛隊幹部らは、北朝鮮兵士が派遣されたロシア南西部クルスク州での戦いやロシアを通じて手に入れたウクライナでの戦闘の教訓を戦車に取り入れようとしていると指摘した。
【写真】北朝鮮の新兵器について解説する米CSISのバーミューデス上級研究員
同通信は北朝鮮の最新式とみられる戦車など6枚の写真を公開した。金正恩氏は視察の際、「一体式動力伝達装置の開発によって戦車の走行とさまざまな機動特性を向上させ、新型能動防護総合体と受動防護手段、電子戦総合体をより革新的に更新した」と語った。
陸上総隊司令官を務めた高田克樹元陸将は写真の戦車について「2020年に初登場した『天馬2』の改良型のようだ」と語る。車体中央にハッチがあるため、ロシアのT14戦車のような無人砲塔戦車ではなく、車体部に1人、砲塔部に3人の4人乗りとみられるという。
高田氏はそのうえで、「一体式動力伝達装置」について「陸自が74式戦車以降に採用したパワーパック(ミッションとエンジンを一体化させたもの)のことだろう」と語る。
また、砲塔には車長や砲手用の潜望鏡光学器材や、車外に出ないで機銃などを操作できるRWS(リモート・ウェポン・システム)などが確認できる。主砲は125ミリ砲だとみられる。高田氏は、こうした特徴から、北朝鮮の戦車は陸自90式、米M1エイブラムス、独レオパルト2などの第3世代戦車と同様の装備を備えているとみる。
朝日新聞社