川崎市川崎区で発見された岡崎彩咲陽さん(20)の白骨遺体。元交際相手の白井秀征容疑者(27)が死体遺棄容疑で逮捕されましたが、事件の背景には、警察の対応の遅れやストーカー相談の見落としなど、多くの問題点が浮き彫りになっています。本記事では、事件の経緯と警察の対応、そして専門家の見解を詳しく解説します。
繰り返された別れと復縁、そして行方不明へ
岡崎さんと白井容疑者は、別れと復縁を繰り返していたとされています。岡崎さんが行方不明になったのは昨年12月20日。その後、家族から捜索願が出され、県警は白井容疑者を昨年12月から今年3月にかけて7回任意で聴取していました。しかし、白井容疑者は「知らない」などと関与を否定し続け、事件は長期化しました。
岡崎彩咲陽さんと白井秀征容疑者
ストーカー相談9回、警察は見落とし
岡崎さんは、白井容疑者からストーカー被害を受けていると、9回にわたって警察に電話で相談していました。しかし、県警は「ストーカー被害の相談を受けていたとの認識はなかった」と説明。この対応の遅れが、悲劇的な結末を招いた可能性も指摘されています。
7回の任意聴取と家宅捜索、そして遺体発見
県警は、白井容疑者の自宅を3回訪れましたが、捜査令状がないため、細部まで捜査できず、遺体を発見することができませんでした。白井容疑者は、遺体が隠されていた部屋の捜査を拒否していたといいます。その後、白井容疑者から「付きまとった」という証言を得た県警は、ストーカー規制法違反容疑で4月30日に家宅捜索を実施。床下にあったバッグから、岡崎さんの遺体を発見しました。
焼損の痕跡、自宅以外での焼却の可能性
発見された遺体には、激しく焼かれたような痕跡がありました。しかし、白井容疑者宅には焼損の形跡がないことから、県警は白井容疑者が自宅とは別の場所で遺体を燃やした可能性があるとみて捜査を進めています。
専門家「対応が後手に回った感は否めない」
元警視庁刑事の吉川祐二氏は、県警の対応について「捜査令状がないと、立会人の了解が必要で、限界がある」としながらも、「被害者が行方不明となった時点で、令状を請求する選択肢もあったはず」と指摘。「1999年の桶川ストーカー殺人事件同様、対応が後手に回った感は否めない」と述べています。また、ストーカー相談の見落としについても、「9回もの相談があれば、ストーカー被害と認識するのが当然」と、警察の対応に疑問を呈しています。
ストーカー相談への対応の重要性
吉川氏はさらに、「相談者側の主張が変わる場合でも、『なぜ?』と寄り添う姿勢が必要。今回のように、裏に脅迫があるケースもある」と、ストーカー相談への丁寧な対応の重要性を強調しています。
白井容疑者の素顔、周囲からは「優しい印象」も
白井容疑者は、以前は川崎市内でとび職として働きながら、友人らとラップミュージックの活動をしていたといいます。周囲からは「優しい印象」を持たれていた一方、「けんかっ早い面がある」という声も上がっています。勤務態度は悪く、無断欠勤が多く、事実上解雇されたという情報も。複雑な人物像が浮かび上がっています。
事件の真相解明と再発防止へ
この事件は、ストーカー対策の重要性と、警察の初期対応の難しさ、そして相談体制の改善の必要性を改めて示すものとなりました。今後の捜査の進展と、再発防止策の確立が期待されます。