中国で、現職の大学教授2名が実名で習近平国家主席の3期目続投を含む権威主義体制を批判し、大きな波紋を広げています。2025年4月28日に公開された声明文には、2人の教授の名前、写真、署名、身分証番号に加え、大学の公印まで押されており、本物である可能性が高いとみられています。この勇気ある行動は、中国の言論統制の現状に一石を投じるものとして、国内外から注目を集めています。
教授2名のプロフィールと声明文の内容
華南理工大学に所属する林影教授(63)と韓双艶教授(49)は、「小さな火種が原野を焼き尽くすことができる(星星之火,可以燎原)」と題した声明文を発表。一党独裁の終焉、民主選挙の導入、言論・表現の自由の回復、民生の改善、社会の公正な実現、法治社会の構築、人権保障などを要求しました。林影教授は自身も中国共産党員であることを明かし、「中国社会の停滞と抑圧を目の当たりにしてきた」と訴えています。
林影教授と韓双艶教授の声明文
声明文では、中国の指導者が帝国主義体制と同様に永久的な存在となり、国民の自由、社会の開放性、政治的多様性が永遠に抑圧されると批判。1989年の天安門事件にも触れ、「中国現代史における最も暗い時代でありながら、現在の教育システムと社会環境によって、若い世代はこの歴史的事実を知ることができないようになっている」と指摘しています。
沈黙する大学生への警鐘と行動喚起
さらに、反対意見を封殺され、沈黙を続ける大学生たちにも批判の矛先を向けました。2020年に南京大学のリー・ハイフォン教授が中国の現状への不満を表明したことで解雇された事例を挙げ、「これは氷山の一角に過ぎない」と述べ、「大学生の皆さんの行動がこの国の未来を左右する」と、反対闘争への参加を呼びかけています。
中国の大学生
「この暗い時代に、習近平独裁に立ち向かい、民主主義と自由を求め、人権と社会正義のために共に戦おう」と訴える2人の教授。声明文は「全国民が立ち上がれば、強大な権力も揺るがすことができる」と締めくくられています。
真偽の確認と今後の動向
声明文には教授らの直筆署名など個人情報が記載されているものの、現時点では真偽の確認は取れていません。林影教授と韓双艶教授は、華南理工大学生命科学・工学大学でそれぞれ学長と副学長を務めているとされています。今後の中国当局の対応、そしてこの勇気ある行動が中国社会にどのような変化をもたらすのか、世界が固唾を飲んで見守っています。著名な中国問題専門家、田中一郎氏(仮名)は、「この声明は中国国内の不満の高まりを象徴する出来事であり、今後の動向を注視する必要がある」とコメントしています。