与党議員、最高裁判事弾劾の可能性示唆 李在明氏裁判巡り波紋

韓国の与党「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンレ)国会議員(法制司法委員会委員長)が、李在明(イ・ジェミョン)同党代表の公職選挙法違反事件の上告審判決を巡り、最高裁判事の弾劾を示唆する発言を行い、波紋を広げている。

李在明氏裁判の行方と司法府への圧力

大法院(最高裁)は5月1日、李在明氏の公職選挙法違反事件の上告審で二審の無罪判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻した。これを受け、共に民主党内では曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長への弾劾訴追の動きが出ている。

鄭清来議員は5日、左派系ジャーナリスト金於俊(キム・オジュン)氏のYouTubeチャンネルに出演し、「国民は大統領を2人も弾劾した。大法院長なんて…」と発言。最高裁判事の弾劾の可能性に言及した。

alt_textalt_text(写真:朝鮮日報日本語版) ▲国会法制司法委員会委員長を務める共に民主党所属の鄭清来議員。

この発言は、金於俊氏が「最高裁判事や高裁判事も必要なら弾劾すべき」と発言したことを受けてのもの。鄭議員は、大法院長の弾劾訴追については「タイミングが重要だ。下手をすればやり返される」とも述べ、慎重な姿勢も見せた。

共に民主党は、大統領選挙前の李在明氏関連の公判期日の中止または延期を司法府に要求している。鄭議員は法制司法委員会で「あらゆる手段を動員する」と発言。司法府への圧力を強める構えを見せている。

弾劾訴追の可能性と司法の独立性

一部の専門家は、鄭議員の発言は司法の独立性を脅かすものだと批判している。例えば、憲法学者のパク・ミンソク氏は「司法判断に不満があるからといって、弾劾をちらつかせるのは司法府への不当な圧力だ」と指摘する。

alt_textalt_text▲共に民主党は李在明氏関連の公判期日の中止または延期を司法府に要求。

一方で、共に民主党支持者からは、司法府が政治的に偏向しているとの声も上がっている。彼らは、李在明氏に対する裁判は政治的な意図に基づくものだと主張し、鄭議員の発言を擁護している。

今後の展開と注目点

李在明氏をめぐる裁判の行方、そして共に民主党による司法府への圧力の行方が注目される。今後の政治状況によっては、最高裁判事の弾劾訴追が現実味を帯びる可能性もある。 司法の独立性と政治の緊張関係が、韓国社会で大きな課題となっている。