国土交通省は6日、ANAホールディングス(HD)とその傘下航空会社4社に対し、航空法に基づく申請手続きに計13件の不備が相次いだとして、行政指導となる厳重注意を行った。これにより、貨物輸送や旅客便において、運賃や各種料金計49億2700万円を認可や届け出の上限額を超えて過剰に収受していたことが判明した。主な原因は、制度への理解不足や手続き上のミスにあるという。
国土交通省とANAの発表によると、特に全日本空輸では複数の事例で運賃の過剰収受が確認された。
詳細な不備事例と過剰収受額
発覚した13件の不備事例は、運賃関連が9件、空港のバリアフリー施設など事業計画の変更関連が4件。これらの事例は、昨年4月から今年4月にかけて立て続けに明らかになった。
国土交通省から厳重注意を受けたANAの旅客機(イメージ)
ANAはこれらの不備が判明する都度、国土交通省に報告を行い、顧客への説明や過剰収受分の返金を進めてきたものの、一連の事実について公には発表していなかった。
具体的な運賃関連の不備
運賃関連の不備のうち、全日本空輸における国際貨物便では、2016年4月から2024年6月にかけて、香港、バンコク、上海発沖縄行きの路線で、認可上限額を超える運賃を設定し、8700件で合計9億4000万円の差額を過剰に徴収していた。
国際旅客便でも、2023年10月から2024年12月にかけ、羽田とシカゴ、ロンドンなどを結ぶ路線で、180人から合計620万円を上限額を超えて受け取っていた。
さらに、国際貨物チャーター便では、2020年4月から2023年7月の間に、950便で認可済みの運賃よりも37億3000万円多い金額を収受していたケースも含まれる。
これらの主要な事例に加え、全日空でさらに5事例、ピーチ・アビエーションで1事例の運賃過剰収受が確認されている。一方で、認可済みの運賃や費用を受け取らなかったケースも全日空で計34億4000万円分あったと報告されている。
まとめ
今回の国土交通省による厳重注意は、日本の主要航空会社グループにおける航空法順守体制の不備を浮き彫りにした形だ。制度理解の不足や手続きミスが巨額の過剰収受につながったことは、航空業界全体のコンプライアンス体制に対する注意喚起となる。ANAHDは、今回の指導を受け、再発防止に向けた取り組みを徹底することが求められる。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/e844214fd40191dee9cc3f89a8169509ccfdec12